研究課題/領域番号 |
21K17483
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
長田 悠路 徳島文理大学, 保健福祉学部, 講師 (40828472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 片麻痺患者 / 転倒 / 運動学 / 運動力学 / 三次元動作解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,三元動作解析装置による歩行計測中に転倒しそうになった片麻痺患者を抽出し,片麻痺患者の転倒パターン別に転倒前に生じる予兆を明らかにし,転倒のメカニズムを解明することである。片麻痺患者の転倒動作を計測することは倫理的にも物理的にも難しい。片麻痺患者の転倒に関する先行研究は,転倒のリスクを高める因子を明らかにするような内容が多く,実際にその転倒が何によって生じたのか,どのようにふらついたのかについて分析した研究は少ない。しかし,本研究では偶然計測できた転倒動作を後方視的に解析するという手法で,実際の転倒場面の分析を行うことができる。このような偶然得られる転倒データを抽出するためには相当数の歩行データが必要である。前回は1施設(6年分)のデータ(28,519試行)から41試行の転倒データを抽出した。今回は,それらに加えて同施設(追加6年分),別施設(4年分)のデータも解析する。これによって,合計100試行程度の転倒データが得られる見込みである。これら転倒未遂データと,同日に転倒せずに歩行できた時のデータとを比較することで,どのような異常動作が転倒に結びつくのか明らかにすることができる。前回の研究では,転倒直前に生じる関節運動学的・力学的な特徴を明らかにすることができ,学会および論文にて情報公開を行った。今回の調査で転倒未遂データをより多く蓄積することで,転倒の方向(麻痺側前,麻痺側横,麻痺側後方),転倒の理由(タンデム肢位,引っかかり,膝折れ,など)を分析する。そのパターン別に身体機能や転倒直前に生じる異常な動きを解明することで,片麻痺患者の転倒を予防するための対策を提案できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在,三次元動作解析装置で定期的な歩行計測を行っている回復期リハビリテーション病院(2施設)に依頼し,計測中に偶然転倒しそうになった事案を蓄積していただいている。そのうち1施設は三次元動作解析装置とリンクして動画の撮影を行うシステムがなかったため,それら機器の配備を行い,2021年8月から計測が開始となっている。もう一つの施設では既に計測が開始されており,後方視的に3年分のデータを抽出することができる状態になっている。新型コロナウィルス感染拡大の影響で,三次元動作解析装置による歩行計測件数が例年に比べて少ないと報告を受けている。そのため,転倒未遂データの収集に若干の滞りが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も引き続き各施設における三次元動作解析装置による歩行計測を継続していき,偶然による転倒未遂データの蓄積を行っていく。同時に,1年間で取得できた転倒未遂データを回収し,解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
外部記憶媒体の購入と郵送を予定していたが,新型コロナウィルスの影響で計測データが少ないとのことから郵送を見送った。外部記憶媒体の購入および郵送は2022年度以降に実施する。
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