研究課題/領域番号 |
21K17484
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 純平 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定研究員 (60822286)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自伝的記憶 |
研究実績の概要 |
介護現場では,ロボット技術による支援が普及しつつあるが,機器の適合がうまくいかずに使用を継続できないケースが少なくない.そこで本研究では,認知症高齢者の生活史に応じた声掛け手法を工学技術に応用することで,認知症者の神経病理学的知見と対応させた科学的根拠に基づくロボット技術を提案することを目指す. 介護保険施設において5年以上の勤務経験を有する作業療法士10名に対して,インタビュー調査を行った.インタビュー調査の結果,記憶低下が中等度の認知症者に対して行う声掛け手法として,より平易で具体的な説明.または,言葉の量や質を段階付け.という回答が多く得られた.また自伝的記憶に関する作業を取り入れた声掛けを行う一方,現在の作業内容も含めた声掛け内容により動機付けを促すとの回答を得た.中等度認知症高齢者に対しては,声量などの声掛けの伝わりやすさに着目する回答と,対象者の趣味嗜好に合わせるなどの声掛け内容に着目する回答が得られた.また自伝的記憶に即した声掛け内容と現在の作業への動機付けを促す際に,対象者の状態及び認知機能レベルに適した声掛けが必要であることがわかった. また情報支援ロボットによる影響を多面的に調査するため,高齢者と情報支援ロボットとの会話記録を解析した.その結果,情報支援ロボットと会話を重ねた高齢者は,感謝の言葉を多く発話していることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により,研究対象者のリクルートが制限され,データ計測の進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
情報支援ロボットに専門職を対象としたインタビュー調査の結果を実装し,有効性検証のための予備実験へと研究活動を移す.またすでに得られている高齢者と情報支援ロボットの音声データの解析を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度使用を予定していた研究費については,新型コロナウイルスの影響により実施予定であった実験の進捗が遅れることとなったために,研究費を次年度に繰り越すこととした.令和3年度は実験で必要となる備品や謝金,学会の旅費等に研究費を使用する予定である
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