研究課題
本研究では、脳卒中後に非麻痺側上下肢で自ら床面や座面を押し付け、姿勢バランスを悪化させるPusher現象の治療基盤の確立を目指し、座位姿勢保持時のPusher現象の筋電図学的特性と低周波刺激による姿勢バランス障害の改善効果を検証することを目的とした。さらに、Pusher現象における情動的負荷は姿勢バランスにおける重要な関心領域であるが、Pusher現象を合併する脳卒中患者の情動面を客観的に調査した報告はなく、脳波による情動特性を検証することを目的としている。急性期脳卒中患者2例における座位時のPusher現象の筋活動は、非麻痺側上腕三頭筋が顕著な活動を呈することが確認され、上腕二頭筋に対する低周波刺激によってPusher現象や座位バランスを改善させることが示唆されている。現在、回復期脳卒中患者でPusher現象を合併する対象者に対して、座位での筋活動の特性を検証するため被験者をリクルートしている段階である。また、脳波による情動特性の調査については、急性期脳卒中患者を対象に測定を進めており、現時点では2例(うちPusher現象1例)のデータを取得しており、さらなるデータの蓄積に努め、解析を進めていく。2024年度中に得られた症例データを解析し、筋活動解析をもとにした電気刺激の効果と、Pusher現象例における情動特性について公表する予定である。
4: 遅れている
Pusher現象の出現率はおおよそ10%であり、時間経過とともに消失していくとされる。また、意識障害や教示内容の理解が困難であるなど、包含基準を満たさない症例も少なくないため、データ収集に時間を要している。
2024年度中に得られた症例データの解析を進め、筋活動解析をもとにした電気刺激の効果と、Pusher現象例における情動特性についての結果の公表にむけ作業していく。
研究成果にむけた経費(英文校正、掲載料、学会参加費等)であるが、データ収集に時間を要しているため。データ解析をすすめ、2024年度中の公表に向け作業していく。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Ann Phys Rehabil Med
巻: 66 ページ: 101706
10.1016/j.rehab.2022.101706.