研究課題/領域番号 |
21K17500
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
岡部 拓大 東京家政大学, 健康科学部, 講師 (90836719)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動的到達運動 / VR / VICON / tACS |
研究実績の概要 |
リハビリテーションにおいて動的な目標物に対する動的到達運動トレーニングの方法論は確立されていない.本年度の実績では,動くアバターの手に被験者の手を合わせるという動的到達運動課題において,バーチャルリアリティシステム(VR)とモーションキャプチャ装置(VICON)の一致性を検証し,tACSによる効果を検証するための基盤的知見を得た. 本研究ではVRによる身体座標の計測の妥当性を検証するため,運動課題中にVRとVICONによる身体座標の同時計測を行い,両者の一致性を検証した.VRでは,対象者の手部および肘関節にトラッカーを装着し,2台のCCDカメラでトラッカーの位置座標を計測することによって仮想現実内にアバターを投影した.また,VICONでは,対象者の肩峰,肩甲棘,肩鎖関節,外側上顆,内側上顆,橈骨茎状突起,尺骨茎状突起,手背に赤外線反射マーカーを貼付し,3台のCCDカメラで反射マーカーの位置座標を計測した.運動課題は,仮想現実内のアバターに合わせて手を前方へ伸ばすリーチング課題とし,1秒間の休憩を挟みながら1 Hzの頻度で10周期反復した.得られたデータから手部の位置座標を抽出し,初期値に対して正規化した.VRとVICONにおける正規化データの一致性をBland-Altman plotsにて評価した.Bland-Altman plotsにおいて,92~94%のデータが2標準偏差内に位置していた.また,VRとVICONによる位置座標の平均誤差は,-0.9~6.9mmだった.VRとVICONによる身体座標の相違が平均10 mm未満だったことから,VRによる身体座標の計測が妥当であることが示唆された. 今後は本VRシステムを活用し,tRNSによる動的到達運動課題への効果検証を行いたいと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VRによる動的到達運動課題のプログラムを構築するにあたって難易度のパラメーターや実験プロトコルの修正に時間を要したため,当該年度ではVRによる身体座標の計測の妥当性の検証までに留まった.今年度実施できなかった研究内容を次年度で円滑に実施していき,計画的に進めていくよう準備していきたい.
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今後の研究の推進方策 |
今年度,新型コロナウイルスが感染拡大をする中,研究協力機関と連携し,感染予防に努めながら予備実験を実施することができた.また,感染予防を含めた計測機器の講習会にも参加し,実験に関する技術の向上を図った.今年度,一部ではあるが実験を実施してきたノウハウを活かし,次年度は新型コロナウイルスの感染予防に努めながら,実験を円滑に実施し,計画的に研究課題に取り組んでいきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた実験まで実施することが出来なかった.そのため,データ解析や論文作成までには至らなかった.次年度は,今年度実施できなかった部分の実験を合わせて行っていき,論文投稿してきたい.また,次年度からは今年度の実験結果を踏まえた方法で実験を実施する予定であり,運動中の視線のモニタリングや経頭蓋電気刺激など,実験の際の備品及び消耗費についても併せて使用していく予定である.
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