研究課題/領域番号 |
21K17503
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
仲本 正美 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (90636383)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Virtual reality / Lower limb function / Reach / Elderly |
研究実績の概要 |
本研究は、仮想現実(VR)システムを用いた座位でのリーチ運動が、高齢者の歩行時の足関節機能に及ぼす影響を検討することを目的とする。立位や歩行において、足関節機能は、視覚では把握できない足元の環境変化に対する、ある程度自動的な姿勢制御に関与している。加齢に伴い、外乱に対する姿勢制御はこの足関節機能よりも股関節機能が優位となり、転倒リスクが増大する。しかし、低下した足関節機能を選択的・効果的にトレーニングする方法についての報告は少ない。その一因として、立位においてはそれより上の身体各部位の動きの影響を受けやすいこと、臨床での定量的評価が難しいことがあげられる。そこで本研究では、高齢者を対象に、VRシステムで定量的に制御された選択反応リーチ課題を座位で実施し、歩行時の足関節機能を改善させることができるかを検討する。2021年度は、外反母趾による疼痛性跛行を呈する高齢者に対する介入効果をまとめ、その内容が国際誌に掲載された。その他の進捗は以下の通りである。 若年者を対象に介入前後の静的姿勢制御への影響を検討した。開眼・閉眼立位時、クッション上での開眼・閉眼立位時の4条件で重心動揺と頭部の加速度を計測した。その結果、クッション上での閉眼立位時の軌跡長と外周面積が介入後に有意に減少した。また、頭部の加速度にはどの条件においても差は認められなかった。これらのことから、視覚、前庭感覚、足底感覚を除く体性感覚(筋感覚など)用いた姿勢制御に影響があったことが示唆された。 さらに、若年者を対象に介入前後の足底触圧覚への影響を検討したところ、介入後に有意に足底触圧覚が改善した。これに関しては、現在、VRなしでのリーチ運動でも効果があるのかを検討中である。 その他、若年者を対象に、介入前後の歩行時の圧分布への影響を検討した。これについては現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、足関節機能が活性化できる座位リーチトレーニングの開発を目的し、若年者あるいは健常高齢者を対象に、トレーニング中に下腿筋活動、足関節の運動、足底圧の変化の同期が経時的に明確になるかを確認する予定であった。 8月頃までCOVID19の感染状況の影響により実験の遂行が遅れ、筋電図を用いた検証は実施できなかった。しかしながら、その他の影響する機能については詳細に検証が進められた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はPhase2として、高齢者における座位リーチトレーニングの即時効果の検証を予定している。自立歩行可能な高齢者(片麻痺患者を含む)を対象に、1回のトレーニングの効果を検証する。これと並行して、神経生理学的手法を用いた詳細な検証も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
足底圧分布計測装置「footscan」一式を、前倒し支払請求をして購入した。その際に、次年度以降の消耗品費や被検者謝金を必要最低限の額まで減額したため、残額を次年度に繰り越して使用する。 2022年度は高齢者における座位リーチトレーニングの即時効果の検証を目的とする。自立歩行可能な高齢者を対象に、1回のトレーニングによって、歩行の足関節機能の向上が認められるかを確認する。この遂行には消耗品や被験者謝金が必要となる。また、mediVRカグラの保守更新費が90万円必要となる。
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