研究課題/領域番号 |
21K17505
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
宮田 知恵子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医長 (20410102)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 化学療法誘発性末梢神経障害 / 運動療法 / フレイル / 高齢がん患者 / 外来通院化学療法 |
研究実績の概要 |
化学療法誘発性末梢神経障害は、しびれや感覚鈍麻、運動麻痺などにより患者の日常生活活動や生活の質に負の影響を及ぼすことが知られている。しかし、現時点において化学療法誘発性末梢神経障害に対する治療方法は確立されておらず、症状が重篤になった場合は、治療薬剤の減量や治療の中断が必要となるため臨床上の問題となっている。また、高齢がん患者では、がんや治療に伴う影響だけでなく、非がん性の運動器疾患や、加齢に伴う生理機能の低下(=フレイル)により、筋力の低下、転倒および転倒による骨折をしやすくなるなど、要介護状態のリスクとなる身体的問題を有する割合が高まるなどの問題がある。したがって、近年、高齢がん患者では、運動器障害への早期対応やフレイルの状態を考慮した治療選択が求められるようになってきている。 本研究では、フレイルや非がん性の運動器障害を有する割合の高い高齢大腸がん患者に対して、末梢神経障害の発現率が高いオキサリプラチンを用いた化学療法を実施する際、治療開始早期より自宅で実施できる在宅を基盤とした運動療法を行うことで、活動性を維持し、治療完遂率の改善と生活の質の向上を図ることを目的としている。 本研究は、(1)在宅を基盤とした運動療法の忍容性・安全性の検証、(2)在宅を基盤とした運動療法の早期介入の有効性の検証の2段階で構成されており、2021年度は、当院の倫理審査承認後、在宅を基盤とした運動療法の忍容性・安全性の検証に関する取組みを開始した。しかし、入院から外来通院への化学療法のシフトが加速したため、2022年度は現状に合わせた研究対象の修正を行い倫理審査に再度申請した。倫理審査の承認を得た後、在宅を基盤とした運動療法の忍容性・安全性の検証に関する取組みを継続中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究立案時点においては、初回化学療法は入院下にて実施することが大半であったため運動療法プログラムも入院中に開始すると設定していた。しかし、本研究の開始後、初回化学療法も入院ではなく外来通院にて導入するケースが増加したため、研究立案時点での想定よりも研究対象者が減少した。したがって、外来通院にて初回化学療法を導入した場合にも研究対象となるよう研究計画を変更し、倫理審査委員会に変更申請を行い承認を得た。現在、入院・外来を問わずオキサリプラチンベースの化学療法が導入される高齢がん患者を対象として研究を遂行中であるが、研究対象となる患者が少なく研究協力者の登録が滞っている。
|
今後の研究の推進方策 |
各診療科担当医だけでなく抗がん剤を調剤する薬剤部とも連携し研究対象となる患者の拾い上げを強化する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症の流行およびロシア・ウクライナ情勢のため2022年度開始予定であった国際学会が2023年度に延期となったため学会参加費およびそれに必要な英文校正費や旅費などが次年度に繰り上がった。次年度使用額を用いた国際学会発表等の準備・実行を行う計画である。
|