研究課題
本研究では呼吸筋の活動から運動強度を予測することが可能かどうかを調べ、運動強度の予測モデルを作成する。そして、作成した予測モデルが臨床応用可能か検証することが目的である。2021年度は運動時の酸素摂取量や二酸化炭素排泄量を中心とした代謝データと呼吸筋活動の関連性、特徴を明らかにするために研究を実施した。健常成人を対象として自転車エルゴメーターによる漸増運動負荷試験を行い、酸素摂取量に二酸化炭素排泄量、呼吸筋(胸鎖乳突筋、横隔膜、腹直筋)と下肢(大腿直筋、外側広筋、腓腹筋外側頭)の筋電図、胸部運動を同時計測した。筋活動はコンピューターに取り込んだ後、二乗平方根に換算し、努力性最大収縮時の筋活動に対する割合を求めた。筋活動の解析は1呼吸または自転車エルゴメーターの1サイクルごとに行った。漸増運動負荷試験では運動強度や酸素摂取量の増大に伴い呼吸筋と下肢筋の筋活動の増加がみられた。下肢筋に比較すると呼吸筋は筋活動の急激に増加する地点は遅延しており、特徴が異なる点が観察された。また、下肢筋モデルと呼吸筋モデルのそれぞれのモデルに対して酸素摂取量を教師データとした機械学習を行い、それぞれのモデルの誤差の検証を行った。モデルの誤差は多くの地点で1Mets未満であり、概ね良好な予測精度を示した。しかし、運動負荷が高くなるほど誤差が大きくなり、呼吸筋モデルに比較して下肢筋モデルの方が誤差が少ないことが分かった。
2: おおむね順調に進展している
2021年度の目標であった運動時の呼吸筋の特徴の解析と予測モデルの作成は概ね実施できた。
2021年度のモデルは自転車エルゴメータ―の環境であったため、よりリハビリテーションの臨床に近い歩行においてモデル作成を試みる予定である。また、ノイズ等の問題点もあり、測定筋の再検証を行う。
発注物品が一部年度内の納品が間に合わなかったことと、コロナウイルスによる実験開始遅延の影響が生じた。次年度にて注文・使用予定である。
すべて 2022 2021
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Respiratory Physiology & Neurobiology
巻: 295 ページ: 103785~103785
10.1016/j.resp.2021.103785
Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine
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