研究課題/領域番号 |
21K17521
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
森田 恵美子 藍野大学, 医療保健学部, 准教授 (90465659)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 / 速歩 / 有酸素運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、腸内環境に対する運動効果を、腸内細菌および短鎖脂肪酸量に着目し実験を行っている。2022年度は、3か月間の介入実験を2回実施した。研究内容の詳細は以下の通りである。まず対象者10名を各々募集し、Study1として、若年者の日頃の身体活動量や運動機能と、腸内環境との関連を検証するために、対象者の糞便より腸内細菌および短鎖脂肪酸量を分析した。さらに腸内環境に影響を与える因子である、身体特性(BMI、筋肉量、体脂肪量)、筋力、栄養摂取量、身体活動量、心肺持久力、ストレス状況を評価した。Study2として、運動効果を検証するために、3か月間のランダム化比較試験を実施した。対象者を運動の種類によって2群(速歩群、非速歩群)に分け、運動介入前後の腸内細菌の組成、短鎖脂肪酸量の変化について検証した。 結果としては、まず3か月間の運動の実施状況に関しては、毎日、歩行状況(歩数、歩行時間、速歩時間)を歩行強度計にて計測し確認したところ、対象者全員が運動を遂行することができており、さらに速歩群の対象者においては、おおむねが目標とした5Mets以上の速歩を実施することができた。また、運動介入前後の腸内細菌叢の組成および短鎖脂肪酸量の変化については、現在解析中ではあるが、対象者全員においては、運動介入前後で変化は認められており、運動前よりも後の方が、短鎖脂肪酸量の増加が認められた。しかし、その根拠として挙げられる、短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌の変化との関連性は現在解析中であり、新たな知見はまだ示されていない。 今後は、以前に実施した同様の実験結果とともに、分析していく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗に関しては順調である。理由としては、対象者の年齢を2021年度に修正を加え若年者としたことにより、コロナの影響を受け対象者募集に難渋した2021年度と比較し、予定通り、20名の対象者を獲得し、3か月間の介入試験を2回実施できたためである。なお、運動負荷量に関して、2021年度の実験後に修正をいれるよう検討したが、若年者において3Metsの歩行は速歩とは言えない速さであるため、申請当初の5Metsに戻し実施することに再度変更し、問題なく実験を終えることができた。 なお、実験遂行自体は順調ではあるが、腸内細菌および短鎖脂肪酸の分析は、外部委託しており、長期納入で結果がでるのが遅いこと、また新たな分析を依頼する予定であるため、その結果の納入時期次第では、全体的な結果をまとめる時期に影響が出てくる可能性はある。
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今後の研究の推進方策 |
短鎖脂肪酸の変化をもたらした根拠を探るべく、腸内細菌の新たな分析(腸内細菌叢の多様性)を予定している。そのために、予算の関係上、今後新たな対象者を募集して4回目の介入試験を実施するのは不可能であるため、これまでの実験によるデータをまとめ、運動の効果と腸内細菌叢、短鎖脂肪酸、腸内細菌の多様性について、多角的な視点より考察し、論文作成、投稿をしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
腸内細菌の分析料が関係している。依頼している施設では、長期納入を選択すると、分析料の割引サービスがあり、本研究ではそのシステムを利用している。腸内細菌の分析は、対象者1名に対して2回実施しているが、2022年度に実施した4回目の分析が年度をまたいでしまったため、まだ支払いが行われておらず、今回腸内細菌の分析料が報告できない状況となっている。2023年度は、2022年度予算分よりその支払いを行うとともに、当初から計画していた予算を用いて、予定通りの研究を遂行していく。
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