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2021 年度 実施状況報告書

造血能向上を図り慢性腎臓病患者の機能性鉄欠乏の改善に効果的な運動プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17522
研究機関森ノ宮医療大学

研究代表者

辻 義弘  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20825484)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード鉄代謝 / 慢性腎臓病 / 慢性炎症 / 腎性貧血
研究実績の概要

「2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」では,目標ヘモグロビン値は 10 g/dL以上 12 g/dL未満が推奨されている.一方で,ヘモグロビン値が 10-12 g/dLに維持されている患者であっても,ヘモグロビン値を赤血球数と平均赤血球ヘモグロビン量に分けるとそれらの値は幅広く分布している.本年度においては,これまでの取組みで得られた検討結果と知見に基づき,慢性維持血液透析患者の血液検査データから鉄代謝関連の項目について赤血球数と平均赤血球ヘモグロビン量の分布の違いが生命予後に与える影響について検討した.平均赤血球ヘモグロビン量が30 pg未満で赤血球数が350万/μLを超える患者では,平均赤血球ヘモグロビン量が30pg以上で赤血球数が350万/μL以下の患者と比較して,長期的な死亡リスクが高い結果を得た.平均赤血球ヘモグロビン量が30 pg未満で赤血球数が350万/μLを超える患者では,機能性鉄欠乏を有している患者の割合が高く,血液透析患者の生命予後を改善させるには機能性鉄欠乏を是正させる必要があることが示唆された.血液透析患者では,血中炎症性サイトカイン濃度が上昇し,慢性炎症の状態にあると報告されている.慢性炎症下では赤血球寿命の短縮,骨髄での赤血球産生能の低下の他にも鉄代謝異常に由来する貧血の存在が知られており,鉄調節因子であるヘプシジン等の炎症性サイトカインによって細胞内から細胞外への鉄の汲みだしを阻害すると考えられている.また,運動療法の効果の一つとして抗炎症作用が報告されているが,運動強度や種類の違いによる抗炎症作用が慢性腎臓病の鉄代謝に与える影響とその機序はまだ詳しく知られていない.今後は,造血過程における鉄の動態を調べ,鉄代謝と抗炎症作用があると報告されている運動効果の相互影響性を調べる予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症拡大のため,研究協力病院への訪問ができず研究計画に遅れが生じているが,研究計画・方法に沿って,次の段階へ研究を進める予定である.問題が生じた場合は,状況に応じて方法論を変更する.

今後の研究の推進方策

今年度までは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で遅れが生じていたが,日常の生活を取り戻しつつある中で次年度以降は当初の計画通りに研究が進められそうである.

次年度使用額が生じた理由

今年度に,研究協力病院でのデータ収集および解析を行い,その結果を関連学会において発表する予定であったが,新型コロナウイルス感染症拡大のため研究協力病院への訪問が叶わず,十分なデータの収集ができなかった.そのため,計画を変更し,関連学会における発表を次年度に持ち越ししたことで,未使用額が生じた.未使用額はその経費に充てることとしたい.

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公開日: 2022-12-28  

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