研究課題/領域番号 |
21K17524
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
谷口 星来 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究技術員 (00894370)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳内ネットワーク / パーキンソン病 / すくみ足 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病の主な運動障害の1つにすくみ足がある。これまでのメカニズム解明の試みでは、局所的な脳活動や結合を「静的」脳モデルとして説明したが、刻々と変化するすくみ足を治療するためには、従来の「静的」脳モデルではなく、大局的なプロセスを含んだダイナミックな脳活動という側面から病態を捉え直す必要性がある(「動的」脳モデル)。さらに、すくみ足は根治的な治療法が無いため、リハビリテーションへの期待が高い。そこで、本研究は大規模な脳機能研究により、すくみ足の原因となる脳活動の動的パターンを突き止め、「動的」脳モデルを構築した上で、リハビリテーションの新規治療法を提案する。 本年度、すくみ足の客観的指標の確立と、すくみ足の原因となる脳活動の動的パターンを突き止めることを目的に、評価A~Cを実施した。評価A:磁気共鳴機能画像法による脳活動の計測、評価B:ウェアラブルセンサーを用いた2種類のすくみ足誘発テストによる定量化、評価C:改訂版パーキンソン病統一スケールなどを用いたパーキンソン病症状の評価、およびMini-Mental State Examinationなどを用いた認知機能評価。 現在、評価A~Cすべての実施を終え、評価Bおよび評価Cで得られたデータの解析に進んでいる。今後、fMRIの結果(評価Aにより取得)と行動的指標(評価B,Cにより取得)の関連性を検証することで、すくみ足の原因となる脳活動の動的パターンを突き止め、「動的」脳モデルの構築を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、評価実施期間に制限があったため。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病のすくみ足の客観的評価および定量化は難しいことが知られているが、今年度の成果により評価方法が確立した。 これらの成果を生かし、次年度には、すくみ足の原因となる脳活動の動的パターンを突き止め、「動的」脳モデルを構築するための解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に、目標人数分のすくみ足動作とMRIデータの分析を行い、その結果をもとに動的脳モデルの構築に必要な統合解釈を行うとともに国際シンポジウムにて発表する予定であった。しかしながら、コロナウイルス感染拡大の影響を受けて目標人数に達しなかったため、計画を変更し、すくみ足の客観的指標の確立を行うこととしたため、未使用額が生じた。このため、脳データとすくみ足の行動学的指標との統合解釈およびシンポジウムでの発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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