研究課題/領域番号 |
21K17528
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石丸 大貴 大阪大学, 医学部附属病院, 特任作業療法士 (60842755)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 認知症 / 物盗られ妄想 / 環境因子 |
研究実績の概要 |
Behabioral amd Psychological Symptoms of Dementia (BPSD)のうち、特に対応が求められる症状の一つに物盗られ妄想が挙げられる。物盗られ妄想は「大切な物が盗まれた」と訴える症状であり、ときに興奮や暴力にまで発展することから、本人と介護者の両者にとって苦痛となる。物盗られ妄想を含めて、BPSDは個人因子、介護者因子、環境因子の観点から多角的に症候を分析することが重要となる。しかしながら、生活環境の情報を収集し評価する手段の制限もあってか、個人因子と介護者因子に関する研究に比べて、物盗られ妄想に関連する環境因子を調査した研究は非常に少ない。そのため、物盗られ妄想に寄与する生活環境の特徴と程度、および介入のあり方は十分に明らかでない。 本研究では、カメラと複数の評価手法を用いて生活環境を分析的に評価し、物盗られ妄想に関連する環境因子の同定および環境調整の指針構築を目指すことを目的としている。本研究の成果から、物盗られ妄想に対するリハビリテーションの新たな知見が得られることが期待される。 R3年度は、COVID-19下においても、同居・独居限らずに地域で生活する認知症者の評価と介入が継続できるように、カメラを用いた自宅環境の評価プロトコル(Photo Assessment of Living Environment)を確立させた。数例の予備的な検討であるが、散らかった部屋・物の収納場所が統一されていない等、物を探せないという自尊心を損なう失敗体験を誘発しやすく、結果的に物盗られ妄想を部分的に強化していると示唆された生活環境の特徴が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
物盗られ妄想と生活環境を評価するためのプロトコルは完成したものの、対象者のリクルートは数例程度となっている。当初に予想していたよりも、本研究の対象者の包含基準を満たす患者が少なかったことが主な理由として考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、物盗られ妄想を呈したアルツハイマー型認知症・アルツハイマー病による軽度認知障害 (Mild Cognitive Impairment; MCI)と診断された患者だけでなく、レビー小体病(Lewy body disease; LBD)など、原因疾患がアルツハイマー病以外の患者も対象に含めて調査を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗予定に変更があったため。
|