研究課題/領域番号 |
21K17529
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩本 義隆 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (20882062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 股関節不安定症 / 三次元動作解析 / 表面筋電図 / 理学療法 |
研究実績の概要 |
股関節不安定性は,歩行などの身体活動中に寛骨臼の中で大腿骨頭が過剰に運動し,変形性股関節症や大腿骨寛骨臼インピンジメントの誘因ともなる股関節の機能障害である.骨や軟部組織の形態異常に関しては,画像診断技術により徐々に明らかになってきているが,静的なものが多く,歩行などの動的環境での評価は未だ乏しい.保存療法として理学療法が処方される機会も多いが,確立された理学療法評価,治療の効果測定は不十分である. 本研究では,股関節不安定性に対する理学療法評価を確立,有効な治療法を検討し,股関節不安定性を有する者の身体活動における運動学・運動力学的特徴および筋活動の変化を明らかにすることを目的とする. 本年度は股関節における前額面上の運動制御に中殿筋が及ぼす影響を明らかにすることを目的に,ステップダウン動作における動的股関節スティフネスと中殿筋の表面筋電図を計測した.被験者は段差の上に立ち,一側下肢を段差の下につけて元の姿勢に戻るよう指示され,動作スピードはメトロノームを用いて規定した.三次元動作解析システム(Vicon MX)および表面筋電計(Delsys Trigno)を用いて運動学および運動力学的パラメータ,筋電図を導出した.動作開始から片脚立位となるまでの第1相と,身体質量中心が最も下方まで移動するまでの第2相にわけて前額面上の股関節角度およびモーメントから動的股関節スティフネスを算出し,被験者ごとに最大随意筋収縮で正規化した支持脚中殿筋の筋活動量平均値および最大値との関係性について相関分析を用いて検討した.その結果,第1相では動的股関節スティフネスと中殿筋筋活動量は有意な正の相関を示したが,第2相においては有意な関係を示さなかった.片脚支持へと移行する際の股関節制御に中殿筋筋活動が関与していることが示された.今後は,歩行立脚期において骨盤動揺と合わせて検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
股関節における大腿骨頭の微小な動揺を加速度計にて評価する予定であったが,先行研究を参照した方法論の確立に難渋しており,今後評価方法を確立させる必要がある.そのため,研究計画はやや遅滞しているが,同時に検討すべき股関節の安定性に関わる因子の検討を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
股関節不安定症の定量化に向け,方法論の確立を進める.代替案として骨盤の動揺を評価する方法も併せて検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験系確立に難渋しているため,実験実施が予定通り行えていない. 筋電計を追加購入し,実験環境を整備した上で実験を実施し,被験者謝金および実験関連証文品に使用する.
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