研究課題/領域番号 |
21K17537
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
柳田 頼英 豊橋創造大学, 保健医療学部, 助教 (60771714)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間質性肺疾患 / High Flow nasal Cannula / 理学療法 / 運動耐容能 / 定常運動負荷試験 |
研究実績の概要 |
本研究課題「新しい高流量酸素システムを用いた間質性肺疾患急性増悪後の理学療法プログラムの開発」は「ハイフローネーザルカニューラ(High Flow Nasal Cannula: HFNC)が安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」と「間質性肺疾患急性増悪後患者のHFNCを用いた運動療法の効果に関する調査」で構成される。 1年目である2021年度は「HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」を開始した。HFNCは新たな呼吸管理のデバイスであるため、その効果に関して十分なエビデンスは蓄積されていない。一方で、臨床現場では経験則から高度低酸素血症・呼吸困難を誘発する患者に離床から運動療法実施まで幅広くHFNCを用いている。従来の酸素療法では高濃度かつ正確な酸素濃度の調整が不可能であったが、HFNCではこれらの問題点を解消するだけではなく、気道陽圧効果から呼吸困難や呼吸仕事量の軽減を図ることができる。前述した理由からHFNCを用いることで患者の低酸素血症が是正され、本人の呼吸困難訴えも改善が認められるようになるため、HFNCを使用することで運動持続時間が延長すると仮説を立て、ブロックランダム化によるクロスオーバー比較研究を実施した。HFNCは流量40L/minで固定し,酸素付加のないFiO2 0.21と酸素付加したFiO2 0.6の2条件とし、室内気と合わせた合計3条件下で、最大負荷の80%負荷で定常運動負荷試験を行った。 目標症例数に到達しておらず、詳細な結果は提示できないが、概ね研究仮説に合致した結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である2021年度は「HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」を開始した。パイロットスタディーで事前に測定していた症例も含めて、順調にデータ収集は実施できている。一方で、依然として目標症例数には達していないため、現状のペースでデータ収集と継続していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目である2022年度で「HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」のデータ収集を終える予定としている。しかし新型コロナウイルス感染症の影響で入院患者の制限が認められることから、計画の変更を余儀なくされる可能性は残されている。 3年目以降は「間質性肺疾患急性増悪後患者のHFNCを用いた運動療法の効果に関する調査」研究を開始していくとともに、「HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」研究の解析を開始、順次学会発表や論文作成を行い、成果の公表を行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で国際学会参加を断念したことや国内学会が現地開催からオンライン開催に変更されたことによる旅費の未使用分が重なったことが主な原因として挙げられる。 次年度も新型コロナウイルス感染症の影響で国際学会参加は見合わせを余儀なくされているが、現時点でのデータによる学会報告や論文作成による研究成果の公表に予算を充てることを考えている。
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