研究実績の概要 |
本研究課題は「ハイフローネーザルカニューラ(High Flow Nasal Cannula: HFNC)が安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」と「間質性肺疾患急性増悪後患者のHFNCを用いた運動療法の効果に関する調査」で構成される。 3年目である2023年度は「HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響に関する調査」を終えた。 3×3ランダム化クロスオーバー比較試験でILD患者25例(71.2±6.7歳,男性20例)を被験者とし、主要評価項目である自転車エルゴメーター(80% peak Watt)による最大運動持続時間(分)を評価した。試験は室内気 (Flow 0L/min, FiO2 0.21)、FLOWのみ (Flow 40L/min, FiO2 0.21)、FLOW+酸素 (Flow 40L/min, FiO2 0.6)の3条件下で実施した。 運動持続時間は、室内気300.2±120.5秒、FLOWのみ346.4±130.7秒、FLOW+酸素438.0±212.9秒だった。室内気とFLOWの差は46.3秒(95%信頼区間:-6.1-98.7, p=0.083)、室内気とFLOW+酸素の差は137.8秒(85.4-190.2, p<0.001)、FLOWとFLOW+酸素の差は91.5秒(39.1-143.9, p<0.001)だった。HFNCが安定期間質性肺疾患患者の運動持続時間に与える影響を証明することができた。本結果はRespirology(IF 6.9)に掲載された。 あわせて「間質性肺疾患急性増悪後患者のHFNCを用いた運動療法の効果に関する調査」について、ILD急性増悪後の患者に対するランダム化比較試験を開始した。
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