研究実績の概要 |
国内トップクラスの大学女子駅伝部に所属する女子長距離走選手のうち同意を得られた17名を対象とし、5月(シーズン開始時)、 7月(合宿前)、 9月(合宿後)、10月(大会前)と調査を行った。調査項目は自記式アンケート調査で月経周期・走行距離・疲労骨折の既往、血液検査により末性ホルモン(LH, FSH, E2)、骨代謝マーカー(BAP, total P1NP, NTx)、骨質マーカー(ペントシジン, ホモシステイン)とした。さらに初回の調査では尿検査によりエクオールを評価した。 疲労骨折の既往は4名(23.5%)に認め、調査期間内の1日平均走行距離は16.2±5.8km、BMI 18.2±1.4、体脂肪率15.3±4.7%、月経状況は正常月経7名(41.1%)、稀発月経3名(17.6%)、無月経6名(35.3%)とやせている選手が多く、月経異常を呈しているものが多い集団であった。女性ホルモンであるエストラジオールは20pg/ml未満であると疲労骨折のリスクが高くなるといわれているが13名(76.5%)が20未満を呈していた。骨代謝は亢進しているものが見られた。エクオール産生能が低値とされるエクオール1.0未満の対象者が12名(70.6%)をしめていた。月経状況、エストラジオール、エクオール値とは相関は認められなかった。 以上の結果より、本対象群はFemale athlete triad(FAT)のリスクが高い集団であると考えられた。現時点においては対象者の骨密度の調査ができていないこと、また本年度は初年度であるため、縦断調査が十分にできていない。本集団を対象に次年度以降も縦断的に調査すること、また対象者数を増やすことが重要と考えられる。
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