研究課題
過去20年に渡る電子メディアの急速な普及は、子どもの運動不足を引き起こすだけでなく、対面での交流機会を減少させ、社会性の発達に悪影響を及ぼしていることが危惧されている。加えて、日本の子どもの社会性は世界的に見て低い水準であることが報告されており、子どもの社会性の発達支援に資する研究は、日本が率先して行うべき喫緊の課題である。子どもの習慣的運動に伴う体力向上や適正体重の維持が子どもの認知神経発達を促すことが明らかになっているが、当該研究分野で主に注目されているのは学力と前頭前野機能であり、社会性と関わる認知機能や行動に着目した研究はほとんど行われていないのが現状である。そこで本研究は、縦断的研究デザインを用い、習慣的運動が子どもの社会性に与える影響を、実行機能と唾液オキシトシンの役割に着目して明らかにすることを目的とした。運動習慣のマーカーである体力・運動能力および体格と向社会性の関係を分析した結果、20mシャトルランおよび50m走の成績と向社会性の関係に正の相関関係が、BMIと向社会性の関係に負の相関関係が認められた。この関係における実行機能(前頭前野機能)の役割を調べた結果、運動習慣を有するものは向社会性が高く、前頭前野の脳内機能結合が強いことが示された。新型コロナウイルス感染症の影響で唾液検体の取得が困難であったこと、実験が遅れたことにより、唾液オキシトシンの解析および縦断的な追跡調査を行うことができなかった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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