研究課題/領域番号 |
21K17555
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
伊藤 咲子 (大西咲子) 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (60882785)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経・筋協調性 / silent period / ジャンプ動作 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、疲労負荷により神経・筋協調性や関節角度・モーメントがどのように変化するのかを健常人および前十字靭帯(ACL)損傷後の患者などで検討し、その基礎研究を実施した上で、ACL損傷などのスポーツ傷害の予防に効果的なプログラムの開発を目指す予定であり、特に、神経・筋協調性を効果的に高めるプログラムの開発を目標としている。 R4は、筋疲労負荷により神経・筋協調性が低下することは確認されたが、ジャンプ着地時における下肢・体幹のアライメントにどのような変化を認めるのか不明であり、その調査の必要性を認識したため、健常者において、骨盤の中臀筋に筋疲労負荷を与え、その前後でジャンプ着地させた際の、左右多裂筋、左右内腹斜筋、大臀筋、中臀筋の筋活動開始のタイミングの変化や、ジャンプ着地後の関節角度・モーメントなどのデータ測定を実施しており、既に、予備実験も含め、20名程度の健常人被験者で、測定を実施した。結果については、筋電の解析をすでに終えており、筋出力のタイミングは、中臀筋で有意に遅延しており、非ジャンプ側の多裂筋とジャンプ側の大臀筋で筋活動量が有意に増加した。現在、VICONによる下肢・体幹アライメントについても解析中である。また、追加で、10名程度の被験者を測定しており、よりジャンプ側の下肢の筋電図学的な検討を行うため、左右多裂筋、左右内腹斜筋、大臀筋、中臀筋、大腿直筋、外側ハムストリングス、内側腓腹筋、前脛骨筋と測定筋を増やし、筋出力のタイミングや体幹・下肢のアライメントのデータを測定済みである。このデータについては、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究が遅延した理由としては、大学に設置している三次元動作解析装置VICONのカメラの不具合により、20名以上の被験者を測定したにも関わらず、データとして使用できる被験者データが10名程度となってしまったことや、測定時にも三次元動作解析装置VICONのカメラが突然停止するなどの不具合により、被験者の再測定を余儀なくされることが多々あったことが原因として挙げられる。 また、被験者として測定した学生が、本大学の4年生を対象としていたこともあり、臨床実習などのイベントにより、再測定の日程調整が難渋したことも原因と考えられる。 このような、機器の不備により、測定した20名程度のデータのうち、実際には、10名程度のデータしか測定データとして採用できない状態であり、研究全体として、遅延が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、更に被験者数を増やし、筋疲労負荷研究の測定データをまとめていく。また、中臀筋への筋疲労負荷前後のジャンプ着地時の下肢・体幹筋活動およびアライメントについても、健常被験者を更に増やし、詳細な研究を進めていく。また、健常者での検討後には、ACL損傷後の被験者にて、同様の研究を行い、健常者データとの比較検討を行う。また、以前に慈恵医大にて測定したACL保存的治療実施者の健・患側下肢データも含めて解析を行い、その結果とも比較を行いたい。その後は、疲労負荷前後のジャンプ着地動作について、ACL損傷の既往のある学生についてのデータを測定し、疲労負荷がジャンプ着時に下肢・体幹筋にどのような影響を与えているのかを検討する。更に、それらの基礎研究をもとに、疲労前後に神経・筋協調性が最も影響を受けやすい筋群について、効果的に神経・筋協調性を高めるためのトレーニングの開発に取り組む予定である。それを踏まえて、神経・筋協調性を効果的に高めるトレーニングについての検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
R4は、事前に学会発表予定であったISECに演題登録したものの、コロナ感染などにより、発表ができず、海外への渡航ができなかったため、その分の経費が余ることとなった。 今後、R4での余剰金を筋電計センサーの追加購入資金とし、現在、業者から測定時に足りない分のセンサーをレンタルしている分に当てて、よりよい測定環境を整えたい。 R5では、追加での筋電計センサー2個の購入及び、消耗品(電極パッド、スキンピュアなど)、学会投稿費・英文校正費、学会参加費、交通費として使用する。
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