研究実績の概要 |
本研究の目的は慢性足関節不安定症患者(chronic ankle instability: CAI)に対して脳を刺激するニューロモデュレーションを応用することで運動機能の改善を促進するかどうかを検証し,CAI分野のリハビリテーションの革新的な治療方略を構築することである。特に動的バランスは動的バランス評価指標であるStar Excursion Balance Test(SEBT),及びCAIの受傷起点である着地動作に与える影響を評価する。着地動作に関しては着地の瞬間の変化を検証するため,下肢の筋活動を着地前後に分け,検証する。今年度は指標となる筋活動や着地動作の評価方法を検証した。着地動作が安定性と足の内在筋が関与することを確認した【Oku, Kosuke, et al. Life 11.7 (2021): 630.】。この研究結果を考慮して,下肢の筋活動は長腓骨筋,下腿三頭筋,母趾外転筋,長母指屈筋に設置し,実験を行う予定である。本実験の対象は申請者の所属する大学に所属するCAI 30名とする。ランダムにA群/B群に割り付け、A群はtDCS介入を実施する。tDCSはCAI側の対側の運動野を陽極として2~3mlAの電気刺激を10分実施する。B群は疑似tDCS介入を実施する。各介入中にCAI側にてSEBTと着地動作を評価する。着地動作は腕組み姿勢にて30cm台から床反力計上に片脚着地させ,CAI側にて,それぞれ5試行記録する。得られた波形の片脚着地接地前200msec,着地後100msec の床反力成分,重心動揺成分,下肢筋活動成分を記録する。これらは動的バランス機能の神経生理学的変化とバイオメカニクス的変化として解析する。さらにtDCS によって変化する動的バランスと筋活動の相関関係を検証する。
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