研究課題/領域番号 |
21K17559
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
澳 昂佑 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10783540)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 慢性足関節不安定症 / 重心動揺 / 周波数解析 |
研究実績の概要 |
慢性足関節不安定症患者(chronic ankle instability: CAI)においてフィードバック機構が破綻することで運動機能が低下する可能性が示唆されている。しかしながら,この病態のメカニズムや,リハビリテーションは明らかとなっていない。リハビリテーション介入として,非侵襲的に脳を刺激するニューロモデュレーションがある。本研究の目的はニューロモデュレーションによってCAIのフィードバック機構を強化し,リハビリテーション効果を促進できるのかを明らかにする。特にCAIの受傷との関連や運動機能の指標となる動的バランスが改善するのか明らかにする。またフィードバック機構の異常を明らかにする。現在,健 常者とCAIに対して重心動揺における周波数解析を実施し,フィードバック機構の破綻に関連する異常を解析した。この結果,CAIは健常者と比較し,バランス制御下において視覚に依存した運動制御となっている可能性が示唆された。視覚に依存することで運動機能が低下する可能性が示唆された。昨年度,さらに被験者を増加し,CAIの重症度による特徴を解析した。解析の結果,重症になるほど,視覚に依存した運動制御機構となる可能性が示唆されてた。またCAIに移行する可能性のあるcoper群においては視覚に依存していない可能性が示唆されている。この結果により,重症度別の運動療法やニューロモデュレーションの効果を検証する。coper群においては視覚に依存していないことから,視覚に姿勢制御・運動制御戦略を獲得することがCAIの再発予防として重要であるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた実験,解析は予定通り実施できているが,新たに解析していく中でCAIの重症度別に視覚に依存している可能性が示唆された。さらに視覚依存度と運動機能の影響や特徴が検出される可能性があり,実験を行うこと及び,新たな解析を行うことが予想されることから,やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
CAIの重症者別の視覚依存度と他の運動機能との関連を解析する。具体的には超音波画像診断装置を利用し,下腿から足部における筋形態・機能の特徴を解析する。この結果をもとに視覚依存度別に運動療法の効果やニューロモデュレーションの効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
得られた結果を解析し論文投稿及び学会発表を行うための費用としていたが,追加で実験を行うことで新たな知見が得られる可能性があり,追加実験の結果を踏まえて当初予定していた論文投稿及び学会発表を実施する予定としている。これらより本年度使用する予定であった論文投稿及び学会発表が延期となり,次年度使用が生じた。次年度の使用計画として追加実験を踏まえた解析をするための備品,物品,論文投稿費用及び,学会発表費用に使用する。
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