研究課題/領域番号 |
21K17561
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
近藤 早希 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, 協力研究員 (80883876)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸管免疫 / 消化 / 吸収 / 持久的トレーニング / 高糖質食 / 代謝 |
研究実績の概要 |
アスリートにおいて、高い免疫機能を維持したまま日々のトレーニングを実施することは重要である。生体の免疫制御の中心を担う腸管免疫細胞の一部は糖質をエネルギー源とすることが知られており、腸管により多くの糖質を供給することができれば、免疫細胞のエネルギー代謝の亢進を介して全身の免疫機能も向上する可能性が考えられる。しかしながら、各細胞のエネルギー代謝の詳細については不明であることから、本年度はまず、血清、小腸上皮細胞および腸管免疫細胞をサンプルとして、エネルギー代謝に関わる代謝物をLC-MS/MSにより測定するための分析系を確立することを目的とした。 栄養状態の異なる条件下でエネルギー代謝を測定するため、摂食状態および一晩の絶食後のマウスから採取した血清を用い、LC-MS/MSによりメタボローム解析を行った。その結果、絶食後のマウスの血清では、解糖系・TCA回路に関与する代謝物のピーク面積が低下した。次に、同条件下のマウスから小腸を摘出し、パーコール法にて小腸上皮細胞を分画しメタボローム解析を行った結果、血清と同様に絶食後では解糖系・TCA回路に関与する代謝物のピーク面積が低下した。以上の結果から、血清および小腸上皮細胞では絶食により解糖系・TCA回路に関わる代謝物が低下することが明らかとなった。これらの結果は、絶食によるエネルギー不足を反映しているものと考えられる。したがって、LC-MS/MSを用いたメタボローム解析により、生体内および腸管内における解糖系・TCA回路に関与する代謝物の測定が可能となった。さらに、小腸粘膜固有層における免疫細胞のエネルギー代謝を測定するため、セルソーターにて小腸粘膜固有層からT細胞を分取しメタボローム解析を行った。しかしながら、解糖系・TCA回路に関与する代謝物のほとんどが測定不能であった。今後は、細胞の分取方法など改良を加える予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、LC-MS/MSを用いたメタボローム解析により、血清や小腸上皮細胞における解糖系およびTCA回路に関与する代謝物の分析系を確立することができた。しかしながら、小腸粘膜固有層における免疫細胞においては、同様の測定ができなかったことから、本年度の進捗は少し遅れていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果から、血清および小腸上皮細胞におけるエネルギー代謝の測定が可能となったため、次年度は実際に高糖質食を摂取しながら持久的トレーニングを行わせたマウスを用いてエネルギー代謝の測定を行い、免疫機能との関連について検討を行う予定である。また、小腸粘膜固有層における免疫細胞では、解糖系およびTCA回路に関与する代謝物のほとんどが測定不能であったことから、免疫細胞の分取方法やサンプルの調整方法など更なる条件検討を行い、分析系の確立を目指す。それに加え、他の方法として、イメージングMSを用いて組織切片上で腸管免疫細胞の代謝物を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は分析系の確立に時間を要したため、当初の予定よりも使用するマウスの数が少なく、消耗品の購入費も少なかったことが原因であると考えられる。次年度には、今年度達成できなかった腸管免疫細胞の分析系の確立のために本予算を使用する予定である。
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