研究課題/領域番号 |
21K17563
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松尾 博一 筑波大学, 体育系, 助教 (20835251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地方創生 / 大規模参加型スポーツイベント / マラソン大会 / 社会効果 / 価値共創 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方における大規模スポーツイベントの開催がもたらす社会効果、及び社会効果を生み出す機序を明らかにし、これまで客観的に評価することができなかった地方創生を目的としたスポーツイベントの評価手法を提案することを試みている。本研究の学術的独自性と創造性は、スポーツイベントをその参加者に提供するサービスとして捉え、サービス科学分野で用いられているサービス・ドミナント・ロジックを援用することによって、社会効果の先行要因としてスポーツイベントの規模や質だけでなく、スポーツイベントに対する参加者の関わり方や認知的な側面を含んだ包括的なモデル構築を試みる学術研究となっていることである。また、これまで客観的に評価することができなかった地方創生を目的としたスポーツイベントの評価手法を提案することによって、地方自治体やスポーツイベントに関連する事業者が社会効果の評価を行うことが可能となり、エビデンス・ベースでのスポーツ施策を実施することができるようになるものと考える。研究課題には1. 地方の大規模スポーツイベントにおける社会効果の特定、2. 地方の大規模スポーツイベントにおける社会効果の先行要因の特定、3. 地方の大規模スポーツイベントにおける社会効果発生機序のモデル化を設定し、地方における大規模スポーツイベントとして約18000人がランナーとして参加する「つくばマラソン」を対象に研究を実施している。令和三年度は、その研究課題1に取り組むため、文献レビューを実施した。結果として、地方の大規模スポーツイベントにおける社会効果には開催都市への認知・イメージの向上、心理的報酬の獲得、クオリティオブライフや社会凝集性の向上などを中心とした正の社会効果、及び交通渋滞の増加などを代表する負の社会効果が存在することが明らかとなり、先行研究となる押見ら(2018)を追証する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては、令和三年度に実施予定であったつくばマラソン参加者へのインタビュー調査を伴う質的データ収集、及びデータ分析を実施することができず、進捗に遅れが出ている。その理由としては、令和三年度のつくばマラソンが新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって開催中止となったため、予定していた参加者、地域住民への調査を実施することができなかった。しかし、現在令和四年度のつくばマラソンについては主催の筑波大学より11月13日での開催予定であることが発表されており、そこでの調査を行うため調整を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和四年度は、まず令和三年度に新型コロナウイルス感染症蔓延の影響によって実施することができなかったつくばマラソンの参加者、地域住民へのインタビュー調査、及び分析を通した尺度開発を実施する。そのため、令和四年度に本来実施予定であったアンケート調査については令和五年度に延期とし、まずは量的調査に用いる尺度の開発に注力することとする。つくばマラソンは本研究責任者の在籍する筑波大学が主催する大規模スポーツイベントであるため、開催の11月に先駆けて調査に関する協議を重ね、万全の準備をもって本年度の調査体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和三年度にコロナウイルス感染症の感染拡大の影響で調査対象としているつくばマラソンが実施されなかったため、調査に際する人件費の支出をすることができなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。そのため、この次年度使用額は令和四年度における質的調査を実施する際の人件費として用いることとする。
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