研究課題/領域番号 |
21K17564
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 拓矢 筑波大学, 体育系, 特任助教 (50821716)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リバウンドジャンプ指数 / 関節屈曲量 / 関節キネティクス変数 / プレセット / プライオメトリクス |
研究実績の概要 |
本研究では、ドロップジャンプにおける運動を開始する前にあたるプレセット局面中に見本映像の介入によるパフォーマンスおよび下肢関節力学量の影響について検討することを目的とした。まず、大学の体育系運動部に所属する男子選手14名を対象に、0.3 mからのドロップジャンプを、視覚を遮断した条件(Blind条件)および遮断しない条件(Normal条件)で行わせ、パフォーマンス変数(リバウンドジャンプ指数(RJ指数)、跳躍高、接地時間)、下肢関節キネマティクス(関節屈曲量)およびキネティクス変数(トルク、パワー、仕事)を算出した.その結果、Blind条件ではRJ指数および接地時間がNormal条件と比較して有意に低下した。また、Blind条件では踏切局面中の膝関節や股関節の屈曲量が増大し、足関節トルクやパワーも低下した。次に、実験2として実験1と同様の対象者に対し,0.3 mからのドロップジャンプを、プレセット局面中に見本となるドロップジャンプの映像を視聴した後に試技を行う条件(Movie条件)と映像視聴せずに試技を行う条件(Normal条件)で行わせ、実験1と同様の変数を算出した。その結果、Movie条件ではRJ指数および跳躍高が増大し、接地時間が低下したが、Normal条件で高いRJ指数(Higher群)はRJ指数の増大がより顕著であった。また、Movie条件では踏切局面における膝関節の屈曲量が小さくなり、同局面の足関節トルクやパワー、膝関節の正のパワーも増大したが、Higher群はMovie条件で足関節のエキセントリックトルクおよび正のパワーも増大した。以上の結果から、プレセット局面での見本映像の介入は、ドロップジャンプのパフォーマンスや下肢関節力学量を改善させるが、対象者が有している下肢の筋力・パワー発揮能力によりその影響は異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1に関しては、測定が終了し、当初の予定よりも多い40名程度から測定データを得ることができた。なお、当初は男性のみを対象とする予定であったが、対象者のリクルートの都合上、女性アスリートも対象としている。現在は論文執筆まで終了しており、学会誌に投稿中である。一方、当初は課題1で脳内状態を測定する予定であったが、対象者の測定時間の都合や計測装置(経頭蓋磁気刺激装置)の故障のため実施しなかった。今年度に改めて測定する予定である。実験2においては、課題1の対象者の中から29名程度を対象として、3つの期間(一般準備期、専門準備期、試合期)のうち2つの期間(一般準備期、専門準備期)において測定が終了している段階である。今後は、試合期の測定を行い、論文執筆に向けたデータ分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
課題1の結果から、プレセット局面中における見本映像の視聴によるドロップジャンプパフォーマンスや下肢関節力学量の改善は、一定水準の下肢の爆発的なパワー発揮能力やプライオメトリクスによるトレーニング経験が影響することが予想される。そのため、当初検討していた時期よりも長い期間で測定を続けていきたいと考えている。また、実験1で行った質問紙の結果から、対象者によって見本映像の見ているポイントが異なることが示唆された。そのため、今後の研究では、視線を検出するための機器を組み合わせて。プレセット局面中の見本映像視聴中の視点を客観的に示していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染状況のため、経頭蓋磁気刺激による実験を行っていないため、測定に必要な消耗品類の購入を行わなかった。今年度の使用計画としては、当初の予定委通り、関連する消耗品の購入にあたる予定である。
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