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2023 年度 実績報告書

暑熱下運動時における循環動態制御メカニズムの解明とその応用基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K17582
研究機関秋田大学

研究代表者

渡邊 和仁  秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (70733145)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード暑熱ストレス / 心機能 / 循環反応 / 呼吸代謝応答 / 血液の運動エネルギー
研究実績の概要

暑熱下運動時の循環応答や心機能変化のメカニズムを明らかにするため、2023年度は運動に伴う生理反応の典型である呼吸代謝応答との関連に着目し検討を行った。実験では温水を循環させたスーツ(水循環スーツ)を用いて2.5~3時間の局所(片脚、両脚)または全身の加温を行った。この時の循環(心拍出量、末梢血流量等)及び呼吸代謝パラメーター(酸素摂取量、毎分換気量等)を測定し経時変化を調べるとともに、左室捻転運動(Twist:心筋収縮性と関連)等の心機能指標との対応関係を検討した。酸素摂取量は片脚加温及び両脚加温時においては加温なしの条件(コントロール)との差はみられなかったが、全身加温時には加温終了まで時間依存的に徐々に増加した。毎分換気量も同様に全身加温でのみ段階的な増加を示した。これらの呼吸代謝応答パターンは左室Twistの変化との類似性が認められたことから、顕著な体温上昇時にみられる左室収縮性増加は換気亢進や有酸素性代謝亢進との連動性を有する可能性が示された。一方、心拍出量は全加温条件において末梢(四肢及び頭部)血流量の増加量に応じて増加したことから、心臓の機能変化や呼吸代謝関連のメカニズムはこの時の心拍出量応答の主要な規定要因ではないことが示唆された。
さらに、高体温時の循環動態制御メカニズムをより明らかにするため、上記実験における血液の運動エネルギーの変化を推定し、流体力学的な観点を含めて心拍出量応答との関係を検討した。その結果、局所及び全身加温時には末梢(四肢及び頭部)の血流速度の増加とともに血液の運動エネルギーが増加し、この反応は心拍出量応答との間に正の相関関係を示した。この結果及び本研究課題における一連の結果より、高体温時には末梢血の流速や運動エネルギーが局所温度上昇に伴って増加し、静脈還流等の循環動態を変化させることで心拍出量に影響を及ぼす可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] ブルネル大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ブルネル大学
  • [雑誌論文] Heat‐related changes in the velocity and kinetic energy of flowing blood influence the human heart's output during hyperthermia2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuhito Watanabe, Nuno Koch Esteves, Oliver R. Gibson, Koichi Akiyama, Sumie Watanabe, Jose Gonzalez-Alonso
    • 雑誌名

      The Journal of Physiology

      巻: 602 ページ: 2227-2251

    • DOI

      10.1113/JP285760

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [図書] 『温度ストレスによる生体応答ダイナミクス』 第6章第2節「暑熱下運動時における循環動態制御メカニズム」2023

    • 著者名/発表者名
      渡邊 和仁
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      978-4-86043-830-2

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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