研究課題/領域番号 |
21K17583
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中尾 砂理 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00647646)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 女性アスリート / 月経 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の1つ目は、月経周期がコンディショニング、パフォーマンスに及ぼす影響を評価することである。これは、月経周期に合わたパフォーマンス動作やストレス状態を調べ、性ホルモン、ストレスホルモンとの関連性を詳細に調べる。また、競技種目との関連性の有無も評価し、コンディショニングや競技特性に合わせた詳細な評価への基礎データとなることを目指す。2つ目は、 女性アスリートをサポートする産婦人科体制モデルを構築することである。 2021年度の実施経験を通して判明した課題の1つは、対象者の月経周期に合わせた測定スケジュールを立てることの難しさである。月経は生理的な変化であるため、その周期と対象者、測定者のスケジュールを全て調整する必要があり、1測定に対し複数回の相談を要することもあった。また、測定中の月経周期がこれまでと異なる形態を示すこともあるため、次の周期開始の確認まで追う必要があった。2つ目は、COVID-19による感染対策、施設使用制限が生じたことである。測定機器使用場所が病院施設内であったこともあり、感染対策の観点から当日使用が中止になり、その後、長期間使用できない事態に陥り、研究の中断を余儀なくされたことである。 上記の課題に対しては遂行過程の中で、月経周期と測定予測日をある程度多めに設定するようにし、次周期の開始後にキャンセルする手法をとることで研究遂行が円滑にいくことがわかった。感染対策による施設使用の制限に関しては、今後のCOVID-19の蔓延状態や施設の対策・方針にもよるが、状況に応じて病院施設内での測定(筋力検査)を省略せざるを得ないことを念頭において遂行する必要があると考えている。そして、一対象者に対して複数回の測定を行うため、コミュケーションを取る場が増え、継続的な産婦人科通院や他科への受診をすすめることができたことが大きな成果であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
使用する機器と測定場所の借用期限があり、一時的に研究を中断する必要があったが、助成金で必要機器を購入する準備をし、測定環境の整備を行うように努めた。しかし、本研究における測定は、大学施設内と大学病院内の2つの近接する場所で行っており、COVID-19蔓延のため、施設使用に制限が生じた。 また、本研究の対象者は主に筑波大学所属の女性アスリートであるが、対象者のリクルートは当科受診者が主体となっていた。昨年度は、当科を新たに受診する女性アスリートが一昨年度よりも極端に減少したことも研究遂行の遅延につながったと考えている。これは、昨年度はCOVID-19の蔓延が終息せず、社会的活動自体が長期間制限されることが続いたことも研究遂行が遅れた一番の原因であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行った過程と社会情勢を考慮して、COVID-19感染の終息が望めない状況であると判断される場合は、特に病院施設の使用制限が生じることが多いため、病院施設内でしか測定(使用機器の設置のため)できない項目は省略することも考慮し、対象者獲得に努める。研究対象者については、COVID-19の蔓延状況、本国の社会活動の在り方が変化していることから、スポーツ活動も徐々に回復してくると考えている。社会活動の回復と共に、スポーツ活動の制限緩和が進めば、研究対象者の獲得が昨年よりも増えると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
借用機器の返却とCOVID-19蔓延のため、一時的な対象者登録が中断したこと、対象者の新規獲得、施設利用制限などの状況が重なり、研究遂行が遅延し2021年度分を翌年に繰り越すことになった。今年度は、当施設の感染対策を順守しながら、対象者を獲得に努める必要がある。助成金は、これまで借用して使用していた機器の新たな購入、ホルモン値などの採血費用、その際の物品、参加者への謝金として主に使用する。また、情報収集、意見交換のためのスポーツ分野への学会参加費にも使用する予定である。
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