研究実績の概要 |
ボールや相手選手の動きに基づいてプレーをする球技競技のパフォーマンス(視覚運動)発揮には、視覚情報処理の中でも、物体の動きの速度や方向を弁別する運動視が大きく貢献する。本課題は、球技競技のパフォーマンスを向上させるための運動視トレーニングの構築とその効果検証を行うことを目的としていた。視覚運動の評価は、運動の複雑さを極力排除し、誰もが容易に順化できる青山ら(Front. Sports Act. Living, 17, 2022)の課題を用いた。運動視の評価には小さなドット群が特定の方向に動くことで運動方向を知覚できるようになるランダムドットキネマトグラム刺激を用い、同一方向に動くドットの割合を変化させる運動方向弁別課題を用いた。運動視トレーニングにもランダムドットキネマトグラム刺激を採用し、実験参加者の反応(回答)を伴わない注視課題とした。同一の実験参加者に対して運動視トレーニングを一定期間実施し、そのpre・postで行う視覚運動と運動視の評価の際に脳波計測を行うことで、運動視や視覚運動が向上するメカニズムに迫ることを目指していた。 視覚運動の評価は問題がなかったものの、運動視の評価については問題点が見つかり、それを修正・改善する必要があり、かなりの時間を要してしまった。また、10日程度連続した運動視トレーニングが実施可能な実験参加者を募集することも困難を極めたこともあり、予定していた通りに実験を遂行することができず、満足のいくデータが得られなかった。
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