研究実績の概要 |
競泳の全力泳時間と泳距離の回帰直線から算出できるcritical swimming velocity(CV)はトレーニング強度指標としての妥当性が示されている。本研究では、CVでのインターバルトレーニング(IT)において、休息時間の違いが生理的反応とストロークのパラメーターに及ぼす影響を明らかにした。 研究対象者は、全国レベルの男子大学競泳選手10名(19.50 ± 1.08 歳)とし、CVを決定するためにクロール泳で200mと400mの全力泳を行った。その後、100m×20回のITを10秒と20秒休息の2条件で、200m×10回のITを20秒と40秒休息の2条件で行った。各ITでは、心拍数、血中乳酸濃度、主観的運動強度とストローク頻度、ストローク長を測定した。 その結果、100m×20回の血中乳酸濃度は10秒休息で4.12 ± 2.53mmol/L、20秒休息で4.04 ± 2.55mmol/Lとなり条件間に有意差はなかったが(p > 0.05)、平均ストローク長は20秒休息の方が有意に長かった(2.45 ± 0.28m vs. 2.52 ± 0.20m, p < 0.05)。一方、200m×10回では、血中乳酸濃度(20秒休息: 4.86 ± 2.79mmol/L、40秒休息: 5.01 ± 2.81mmol/L)及び平均ストローク長(20秒休息: 2.44 ± 0.22m vs. 40秒休息: 2.46 ± 0.24m, p < 0.05)は条件間で有意差はなかった。 以上のことから、CVを泳速度とした100及び200mのITでの代謝コストは休息時間による差異はないと考えられた。しかしながら、100mのITでは10秒よりも20秒休息の方が推進効率は高いことが示唆された。
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