研究課題/領域番号 |
21K17602
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
田鹿 毅 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (30571567)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 内側野球肘 / 肘関節内側側副靭帯 / 高校野球投手 / 前腕屈筋 / 筋弾性 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、高校野球選手を対象に超音波share wave elastgraphyを用いて前腕屈筋群・円回内筋の弾性度と内側側副靭帯の弛緩性を測定し、これらの関係性を明らかにするとともに、内側野球肘を予防するための新たな評価法の確立を目指すことである。 【対象と方法】対象は令和4年度は群馬県高校野球投手メディカルチェックを施行した高校野球投手116名(平均年齢16.5歳)である。問診から野球歴、現在の投球側内側肘関節痛の有無、投球能力自己評価(0-100点)を調査した。被験者は座位にて超音波エラストグラフィーによる両側前腕屈筋群(円回内筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、前腕屈筋起始部)の各筋内における剪断波速度(shear speed)を測定した。また臥位にて投球側、非投球肘関節内側側副靱帯gravity test を施行し、超音波にて非ストレス時、ストレス時の内側肘関節裂隙の開大長を計測した。【結果】①投球側・非投球側前腕屈筋群の各筋内における剪断波速度比較において、円回内筋、腕屈筋起始部における剪断波速度は非投球側と比較し有意に増大を認めた。その他の筋において有意差は認められなかった。②投球側の各筋内剪断波速度と非ストレス時、ストレス時の内側肘関節裂隙の差に有意な相関を認めなかった。③投球側前腕屈筋群筋内剪断波速度(shear speed)の多重比較においては、橈側手根屈筋が、その他の筋と比較に有意に増大を認めた。④メディカルチェック施行時に内側肘関節痛を認めた選手は21人であった。認めない選手は95人であった。メディカルチェック施行時の内側肘関節痛の有無における2群において各筋内における剪断波速度の比較を行ったが、全ての部位において有意差は認められなかった。2群間において非ストレス時、ストレス時の内側肘関節裂隙の差に有意差を認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は群馬県まん延防止等重点措置のため、群馬県高校野球投手メディカルチェックも部活動の一環と判断に至り、令和3年度の研究は行うことができなかった。 令和4年度は群馬県高校野球投手メディカルチェックを2023年1月15日、1月29日、2月12日に行った。本来の予定より1年間遅れて、研究は遂行されている。
|
今後の研究の推進方策 |
メディカルチェック施行時に内側肘関節痛を認めなかった選手は97人に対し、令和5年度シーズンにおいて、新たに投球側内側部痛発症を前方視的に調査する。問診により得られた練習環境因子(練習時間/日、練習日数/週、全力投球数/日、試合数/年)と、令和4年度メディカルチェックの投球側における前腕屈筋群(円回内筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、前腕屈筋起始部)の各筋内剪断波速度(shear speed)の関連性を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究結果を発表する目的にて、日本肘関節学会学術集会、日本手外科学会、日本整形外科学会学術集会に参加する予定であり、これらの旅費として使用する予定である。 本結果を英文雑誌に投稿する予定であり、投稿料として使用する予定である。
|