研究課題/領域番号 |
21K17606
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 渉 札幌医科大学, 保健医療学部, 訪問研究員 (80780212)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膝前十字靭帯損傷 / 外傷予防 / 動作解析 / スクリーニングテスト |
研究実績の概要 |
スポーツ活動中におけるACL損傷が主に「着地」と「切り返し」によって発生することが多いことが分かっています。従来のスクリーニングテストでは、着地時の評価を通じてACL損傷の予測が可能であることが広く知られており、そのため広く使用されてきました。しかしながら、切り返しによるACL損傷を予測することは従来のスクリーニングテストでは困難でした。 申請者は、これまでに健常者を対象とした動作解析研究を行い、切り返しを評価するための新たなスクリーニングテストを考案しました。しかしながら、この新たなスクリーニングテストが実際にACL損傷を予測できるかどうかは明確になっていません。 現在、申請者は考案した「切り返し」によるスクリーニングテストを用いてACL損傷者の異常な運動を検出するかどうかを検証しています。具体的には、ビデオカメラにより撮影した「切り返し」動作をAI動作解析ソフトを用いて客観的なデータとして出力する手法の検討を進めています。 また、2022年度には本研究分野の学術集会である日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会 JOSKAS 2022に参加し、情報収集や意見交換を行うことで、研究方法の見直しを行うことができました。 以上のように、申請者はスポーツ活動中のACL損傷を予測するためのスクリーニングテストの改良に向けた研究を進めており、現在はビデオカメラとAI動作解析ソフトを活用した手法について検討しています。今後は、他の研究機関や専門家との協力を通じてACL損傷者と非損傷者の十分な被験者を確保し、検討した手法の信頼性を高めていく予定です。今後も申請者は、新しいスクリーニングテストの開発と評価に注力し、ACL損傷予防に貢献する研究を進めていく予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、申請者は考案した「切り返し」によるスクリーニングテストからACL損傷者の異常な運動を検出できるかどうかの検証を進めています。ビデオカメラにより撮影した「切り返し」動作をAI動作解析ソフトを用いて客観的データとして出力する手法の検討を重ねています。 近年、AI動作解析分野の技術革新が進んでおり、それに基づいて動作解析手法を見直しています。修正した手法についても検討を進めたいと考えています。 ただし、所属研究機関の移籍による環境変化や、コロナ禍における被験者確保の問題などが重なり、現在の状況では十分な検討を行うことができていません。特に、ACL損傷者の被験者確保には困難が伴っていますが、ACL非損傷者の計測は既に行っています。 今後は、環境変化や被験者確保の課題に対処しながら、ACL損傷予測における新たな手法の検討を進めていきます。また、他の研究機関や専門家との協力を通じて、より多くの被験者を確保し、結果の信頼性を高めることも目指します。
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今後の研究の推進方策 |
現在、申請者は考案した「切り返し」によるスクリーニングテストからACL損傷者の異常な運動を検出できるかどうかの検証を進めています。環境変化や被験者確保の課題に対処しながら、ACL損傷予測における新たな手法の検討を進めていきます。 具体的には、他の研究機関や専門家との協力を通じて、ACL損傷者と非損傷者に関する十分な被験者を確保し、"切り返し"動作の解析方法の信頼性を高める予定です。新たな"切り返し"動作の解析手法の検討が終了したら、従来の"着地"によるスクリーニングテストと組み合わせた評価アルゴリズムからACL損傷を正確に予測できるかどうかを検証します。 この"切り返し"と"着地"を組み合わせた評価アルゴリズムによって、従来の"着地"のみによるスクリーニングテストよりもACL損傷をより正確に予測できるかどうかを前向きな研究によって検証します。また、この評価アルゴリズムによって受傷の危険性を評価した選手について、ACL損傷を予測できたのかを追跡調査し、各評価法を比較して検証します。 これらの研究手法を通じて、より正確なACL損傷予測に貢献することを目指します。さらに、得られた結果を学術論文や学術集会で発表し、研究成果の共有と他の研究者との意見交換を行い、領域全体の発展に寄与していきます。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の進行には、所属機関の移籍に伴う環境変化やコロナ禍による被験者募集の困難が影響し、遅延および修正が生じています。2023年度では、新たな所属機関での研究環境整備に多くの費用が必要と予想されますが、迅速に研究環境を整え、遅延を取り戻すために研究を推進します。さらに、研究結果の公表に向けては、国際学会への参加や国際論文の投稿を予定通りに進めていく予定です。
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