研究実績の概要 |
日本ラグビーフットボール選手会と共同で日本のエリートアスリートを対象に調査を実施した。調査の分析から、メンタルヘルス不調(精神疾患が疑われる状態を含む)が高頻度に発生することとその関連要因(Ojio, et al. 2020)、不調時の対処行動の特徴(Ojio, et al. 2021)、心理的ストレスから専門家による治療を要する群のような多様なニーズがあること(Ojio, et al. 2022)、メンタルヘルス課題はチーム内の人間には特に相談しにくいこと(Oguro & Ojio, accepted)が明らかになった。これらの知見は、どのくらいのアスリートに(潜在的なニーズも含め)、どのようなケアニーズがあるのか、それらを提供するために必要なケアシステムを考えるための資料になる。
また、国際標準で用いられているアスリート向けのスクリーニングツールについて、日本語翻訳版のツール作成を複数行った。作成されたツールは、Sport Mental Health Assessment Tool 1(SMHAT-1)、Sport Mental Health Recognition Tool 1 (SMHRT-1)、Athlete Psychological Strain Questionnaire(APSQ)、Sport Psychological Safety Inventory(SPSI)が含まれる。これらのツールは、本領域の研究推進のためweb上で公開している。
これらの知見は学術団体による学会・イベントでの発表だけでなく、メンタルヘルス教育・研修として、スポーツ界では各競技選手会、チーム、協会等にて、一般集団においては学校や企業、自治体にて複数回講演会を実施した。
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