研究課題/領域番号 |
21K17635
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田名辺 陽子 筑波大学, 体育系, 研究員 (90781873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クルクミン / トレーニング / 筋肥大 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
クルクミンはウコンの主成分であり抗炎症作用を有する。研究代表者はこれまでに、若年者におけるクルクミン摂取が運動後の筋力低下を軽減することを報告した。また、運動前のクルクミン摂取は運動後の炎症反応の上昇を軽減することを報告した。一方、加齢による骨格筋量の減少や筋力低下に炎症反応が関与していることから、クルクミン摂取が高齢者の筋量や筋機能の維持・向上に効果的であり、さらには筋力トレーニング効果を相加的に向上させると予想されるが、それらに及ぼす影響は不明である。本研究では、高齢者においてクルクミン摂取と筋力トレーニングが骨格筋量および筋機能に及ぼす影響を検討し、さらに炎症反応が関与する筋線維再生系とタンパク質代謝系に着目してメカニズムの検証をすることを目的とした。 本年度は、本研究でのクルクミン摂取量を決定することを目的に、クルクミンの血中および間質液中動態を明らかにするための予備的な検討を行った。対象者に異なる用量のクルクミンを摂取させ、摂取後1,2,3時間に血液および間質液を採取しクルクミン濃度を評価した。現在、データ解析中である。細胞間での栄養を運搬している間質液中でのクルクミン動態が明らかになることにより、血液中だけでなく末梢組織の細胞にクルクミンが運搬されている可能性が示される。これらの結果をもとに、本実験で摂取するクルクミン量は、間質液中でクルクミンが検出される濃度に設定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では、予備検討から本実験に取り掛かる予定であったが、新型コロナウイルスにより被験者や実験施設を確保することができず、本年度は予備検討と測定方法の確認に留まった。予備的な検討として、クルクミン摂取による血中および間質液中のクルクミン濃度動態を検討する実験を実施した。以上より、本年度は研究を遂行しデータが得られていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で予備検討したクルクミン摂取量を用いて、移動先の研究機関において新しい施設・環境で研究を進める予定である。トレーニング期間は新型コロナウイルスの影響を考慮しながら検討し、長期的なクルクミン摂取の有無がトレーニングによる筋肥大や筋機能に与える影響を検討する。これらが明らかになれば、クルクミン摂取が高齢者のトレーニングにおいて筋力や筋量の保持に有用であることを科学的に示すことができると予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、実験が予備検討に留まったため、予定していた被験者への謝金等が発生しなかった。次年度は、本年度で行えなかった分、謝金等の人件費に使用予定である。研究実施計画では、筋肥大のためのトレーニング期間を3か月と設定していたが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、トレーニング期間を短くしたりするなど状況に応じた対策が必要である。
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