糖尿病治療における新規薬物治療の開発が進む一方で、食事療法に関しては病院での短時間かつ画一的な指導が長期にわたり継続している。食生活は実に多様であることから、詳細な記録に基づく個別指導の有用性が期待される。一方で、毎回の食事を記録/分析することは患者・医療者ともに負担が大きいことから、現場への導入が進まないのが現状である。近年、情報通信技術の進歩は目覚ましい進歩をとげており、社会も大きな変化を迎えている。具体的には①食事療法の評価のための、栄養評価の効率化に寄与する、食事画像解析技術や栄養素自記式アプリ関連技術など(栄養評価支援技術と呼称)と、②食事療法の実践のため、食事内容の改善に寄与する技術など(介入支援技術と呼称)である。しかし、食事療法関連技術の根幹たる①栄養評価支援技術について、臨床現場の視点から研究した論文は少ない。 本研究課題では新しい食事療法関連技術について、医療現場での有用性を問う第一段階として、食事療法関連技術の根幹たる①栄養評価支援技術の基礎として、食事写真記録による栄養評価を、栄養評価のゴールデンスタンダードである秤量法と比較しその妥当性を検討する。 本年度は研究の第一段階としてスマートフォンアプリを用いない写真食事記録と秤量法記録を比較する臨床研究を行う計画であったが、以下の理由で計画変更を余儀なくされた。スマートフォンアプリをはじめとしたIoT環境の急激な進歩により、スマートフォンアプリを初期段階から使用する目処が立った。その為、研究をより迅速に進めるために、スマートフォンアプリを用いた食事写真記録及び秤量法記録を同時に行う単群観察研究を開始した。
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