研究課題
食事写真を人工知能にて自動計算するシステムを構築し自由行動下での食事において栄養計算のゴールデンスタンダードである秤量法と比較した。人工知能による計算(以下AI)、人工知能/利用者による計算(以下AI+自記)、人工知能/利用者/管理栄養士の共同作業による計算(AI+自記+栄養士)の正確性を検証した。180名(平均年齢58.7歳、BMI 26.7 kg/m2、女性/男性94名/86名、糖尿病患者22名、EI 1640kcal/日)が解析対象となった。エネルギー摂取量(以下EI)はAI+自記、AI+自記+栄養士でそれぞれ1502 kcal/日、1619 kcal/日、1674 kcal/日であり秤量法より少なかった。秤量法と比較したSpearmanの順位相関係数はそれぞれ0.48、0.88、0.88と、AIでは弱い相関、AI+自記式及びAI+自記+栄養士では強い相関をそれぞれ認めた。エネルギー産生栄養素のSpearmanの順位相関係数は、タンパク質で各0.45、0.82、0.82、脂質で各0.31、0.80、0.82、炭水化物で各0.49、0.85、0.85と、EI同様、AI+自記及びAI+自記+栄養士にて強い相関を認めた。重み付きカッパ係数はEIではそれぞれ0.30、0.70、0.68で、AI+自記及びAI+自記+栄養士にて高い一致度を認めた。本研究結果から自由行動下でのスマートフォンアプリを用いた食事記録において、人工知能のみの解析精度は現時点では不十分で、利用者自身の情報の追加・修正が加わることで、医療者の負担を増やすことなくその精度が大きく改善することが明らかとなった。本研究結果は日本糖尿病学会、米国糖尿病学会で口演演題として採択され、現在英語論文を執筆中である。
すべて 2024 2023
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)