研究課題/領域番号 |
21K17641
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
戸田 圭祐 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (80881630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 12-リポキシゲナーゼ / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 肝星細胞 / 発現調節 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、メタボリック症候群や糖尿病を基盤とし、著しいアルコールの摂取がないにも関わらずアルコール性肝炎類似の肝組織所見を呈する疾患である。本疾患は進行すると肝臓の線維化を引き起こし、高率に肝硬変や肝臓癌に至るが、そのメカニズムについては十分に解明されておらず、有効な治療薬も発見されていない。 先行研究において、メチオニン・コリン欠乏食投与により作製したNASHモデルマウス肝臓で血小板型12-リポキシゲナーゼが上昇すること、この酵素が肝臓の中でも線維化において中心的な役割を果たす肝星細胞に局在し、NASH進展における肝星細胞の活性化と筋線維芽細胞への分化に伴って、その発現レベルが上昇することが明らかとなった。そこで本酵素を安定的に発現させた細胞株とMock細胞の遺伝子を網羅的に解析したところ、Mock細胞に比べてコラーゲン遺伝子の発現が低下していることが見出された。このことはNASH進展における肝線維化の段階で、血小板型12-リポキシゲナーゼが抑制的に働くことを示している。 そこで本研究では、まず本酵素の発現調節機構の解明を目的とした。これまで、マウスから肝星細胞の初代培養細胞を調製し、そこへ肝線維化の機構に関わる各種サイトカインを添加し、血小板型12-リポキシゲナーゼのmRNAをqPCRで定量することにより、本酵素の発現を調節するサイトカインを検討した。また、ヒト血小板型12-リポキシゲナーゼ遺伝子の5’非翻訳領域をルシフェラーゼの上流につないだ発現ベクターをヒト肝星細胞株に導入後、上記サイトカインを添加し、転写活性を測定することで、どのサイトカインが発現調節に寄与するかの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血小板型12-リポキシゲナーゼの発現レベルを調節する因子の同定が、当初予定していたよりも時間がかかっており、研究の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
既に報告されている5’非翻訳領域のシスエレメントを一つずつ削除するように設計したルシフェラーゼアッセイ用プラスミドを構築し、それぞれをヒト肝星細胞株に導入後、転写活性を測定することで、どのシスエレメントが発現調節に寄与するか検討を行う予定である。
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