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2023 年度 実施状況報告書

腸内細菌叢由来代謝物質による寿命延伸効果の検証とメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K17643
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

石井 千晴  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 研究員 (40866779)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード腸内細菌叢 / 代謝物質 / 寿命 / メタボローム
研究実績の概要

腸内には多種多様な細菌が生息しており、腸内細菌叢から産生される代謝物質は、病気の発症や健康維持に関与することが報告されている。腸内細菌叢の構成や腸内・血中の代謝物質は加齢によって変化することが知られており、加齢によって腸内で変化する代謝物質の一部が線虫の寿命延伸に寄与することが本研究で明らかになった。しかし、そのメカニズムや、マウスやヒトなどの哺乳類でこの代謝物質が寿命に影響を与えるかは未解明であることから、本研究では、本代謝物質がもたらす線虫の寿命延長効果の分子基盤と、哺乳類の寿命に与える影響について評価を行うことを目的とした。
2023度はこの代謝物質の生理作用を解析するために、2022年度に引き続き、本代謝物質産生に関わる遺伝子を欠損した線虫を用いて寿命測定を行った。その結果、遺伝子欠損株の線虫の平均寿命は野生株の線虫に比べて長寿になる一方で、異なる飼育温度では逆に、欠損株の寿命は野生株に比べて短命となった。しかし、この効果は線虫の寿命実験では一般的に用いられる薬剤の共在下での結果であり、この薬剤のない条件下では、同様の結果が得られないことが新たに明らかになった。今後は、この薬剤の有無や温度によって寿命にどのような影響があるか、また酸化ストレス耐性にどのような変化が生じるかを検証する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023度は、本代謝物質産生に関わる遺伝子を欠損した線虫を用いて、飼育温度が寿命に与える影響を評価した。その結果、生育温度が寿命に影響を与えることが明らかとなった。また、この欠損株では寿命実験の際に用いられる薬剤の有無が、線虫の寿命に影響を及ぼすことが新たに明らかになった。このことは当初の計画にはない予想外の結果であったが、本代謝物質が寿命に関連するメカニズムを探るための一助となる可能性があるため、この薬剤の有無と生育温度の組み合わせによって寿命にどのような影響があるか、また酸化ストレス耐性にどのような変化が生じるかを検証する予定である。

今後の研究の推進方策

本代謝物質産生に関わる遺伝子を欠損した線虫を用いて、飼育温度や実験に用いる薬剤の有無が寿命に影響を与えることが明らかになった。今後は薬剤の有無と生育温度の組み合わせによって寿命にどのような影響があるか、また酸化ストレス耐性にどのような変化が生じるかを検証し、本代謝物質が寿命に関連するメカニズムについて研究を進展させていきたい。また、本研究ではこれまでに、本代謝物質が線虫以外の生物種の寿命に与える影響を検証するため、マウス、ヒト正常二倍体繊維芽細胞、ショウジョウバエの3種の生物種について投与実験を行っているため、これらの結果を論文としてまとめ、投稿したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

実験の結果、当初の計画にはない予想外の結果が得られたため、研究期間を延長した。今後は、これまでに引き続き線虫などに対する標的代謝物質の投与実験等を行うことに加えて、得られた研究成果の発表等を行う予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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