研究課題/領域番号 |
21K17656
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
儘田 直美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50802956)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / ミトコンドリア異常 / 疲労 |
研究実績の概要 |
我々は以前にミトコンドリア障害の指標の一つであるGDF-15が多発性硬化症(MS)の重症度と相関することを報告しており、ミトコンドリア障害のMS病態への関与が示唆された。一方、疲労の原因としてもミトコンドリア障害の関与が報告されている。本研究ではマウスモデルを用いてMS病態へのミトコンドリア障害の関与を明らかにすることを主要課題とした。 当初、筑波大学で開発された欠失型ミトコンドリアDNAを持つミトコンドリア欠損マウス(ミトマウス)に実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を導入し、その重症度を野生型マウスと比較する予定であった。しかし、コロナ禍のため実験室間の移動が制限されたため、ミトマウスの作成・使用が困難な状況となった。そのため、ミトコンドリア病に使用されている薬剤投与実験を行うこととした。最初に野生型マウスに対してEAEを誘導した。EAE誘導後12週のマウス脊髄のKB染色では病理学的に脊髄側索に脱髄が引き起こされており、EAEが誘導されていることを確認した。次に、野生型マウスにミトコンドリア機能改善薬であるピルビン酸ナトリウムまたはL-アルギニンを投与し、EAEが軽症化するかどうかを検討した。ピルビン酸ナトリウムはナトリウムを含むためコントロールマウスには生理食塩水を投与した。臨床的重症度評価は尾および下肢の麻痺により7段階で評価した。現在、ピルビン酸ナトリウム投与マウス10匹とコントロール5匹、L-アルギニン投与マウス10匹とコントロールマウス5匹について統計学的解析をおこなっている。今後、電子顕微鏡を含む病理学的変化、その他バイオマーカーの検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスに対してEAEの導入を行いミトコンドリア機能改善薬の投与を開始しているが、コロナ禍による移動制限の影響によりミトコンドリア欠損マウスが使用できず、一部実験計画の変更を要した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響によりミトコンドリア欠損マウスの使用ができなかったため、当初の研究計画を変更し、野生型マウスに対するミトコンドリア機能改善薬の効果を検討していく。またMS患者へのミトコンドリア機能改善薬投与による臨床症状及び疲労、睡眠等の状況を質問表により調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
EAEマウスの誘導に用いる薬剤は長期保存ができず,適宜購入する必要があったため,残額が生じた.またコロナ禍による移動制限やウクライナ戦争の影響により物流が滞った影響により、一部実験に制限が生じた.残額は次年度に繰り越し試薬等の購入に充当する予定である.
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