本研究では、代表的なリン脂質であるホスファチジルコリン(PC)について、脂肪酸の結合位置による異性体について分析法および体内分布を精査した。市販されていないPC異性体を有機合成および分取精製により作製した。作製したPC異性体の標準品を用いてPC異性体の精確な定量法を開発した。マウス体内におけるPC異性体分布を調べたところ、脳でのみPC異性体が存在し、投与したDHAはPCのsn-1位にDHAが結合したPC異性体として多く取り込まれていた。またDHAが結合したPC異性体間でDHAの吸収性を調べたところ、DHAはsn-1位よりもsn-2位に結合していたほうが血中への移行性が高いことが示唆された。
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