研究課題
本研究は、持続血糖測定器の一種である間欠スキャン式持続血糖測定器(isCGM)による持続血糖測定機会提供と学習支援を併用した糖尿病患者への新しい体験型学習方法の開発を目指すものである。初年度は我々が以前実施したisCGM介入研究データを分析し、効果的な介入期間やisCGMによる糖代謝改善の背景を検証した。その結果、isCGM測定機会の提供は比較的早期から糖代謝を改善させ、その改善は少なくとも12週に渡って持続すること、治療継続意欲の向上がisCGMによる測定機会提供終了後も持続する糖代謝改善に重要な役割を果たしていることが示された。本分析の結果はPrimary Care Diabetes誌に掲載された。上記知見を基に、2年度以降は持続血糖測定機会の提供と合わせて実施する学習支援内容を検討するための前向き介入試験を開始した。同介入試験ではインスリン非使用2型糖尿病患者を対象とし、食事運動療法の留意点に関する初期教育を行った上で、isCGMでの血糖測定機会の提供と、測定期間中の医療者との面接をセットとした学習プログラムを実施し、行動変容ステージ、身体活動量(IPAQ)、食事摂取状況(BDHQ)などの質問紙による行動変容の量的な評価とともに、インタビューにより患者の得た体験を言語化し、その類型化を実施するとともに、個々の体験に対する患者の解釈や修正が必要だった項目、試験期間中の糖代謝および質問紙で示される生活習慣の改善例と不全例の患者体験や解釈の差、初期教育のどのような要素が正確な解釈や誤った解釈に影響を与えたか、などを質的に分析した。本試験は現在患者組み込み及び介入を実施中であるが、本試験の結果、体験型学習における有効な学習支援の構成要素が特定され、医療者の職種・専門性や技能に寄らず短時間で実施可能な患者支援方法の開発が期待できる。
すべて 2023
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Prim Care Diabetes
巻: 17 ページ: 575-580
10.1016/j.pcd.2023.09.009.