研究課題/領域番号 |
21K17661
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
下廣 寿 鳥取大学, 医学部, 講師 (90583758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 可溶性LDL受容体 / 肝脂肪化 / 肝線維化 / MASLD・MASH / SLD / CAP / ATI / NAFLD |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、オプトアウト方式による臨床サンプルの残余血清の回収・保存を行った。同時に、可溶性LDL受容体(soluble LDL receptor : sLDL-R)濃度測定を実施し、解析を進めた。sLDL-R濃度は超音波検査で脂肪肝を認めた群が、認めなかった群に比して有意に高値であった。この結果は、画像検査による肝脂肪量を反映しているとされているCAP(Controlled Attenuation Parameter)値とATI(Attenuation Imaging)値を用いた脂肪肝判定でも同様であった。sLDLR濃度は両者の定量値とも有意な正相関も認めた。また、BMI、年齢とも有意な相関を認めた。 一方sLDLR濃度は、肝の炎症指標としてのALTと正相関、線維化指標としての肝硬度、M2BP2、FIB-4と負相関を認めた。そこで、肝の脂肪化指標としてCAP値、炎症指標としてALT、線維化指標として肝硬度値を性別、年齢、BMIを調節してsLDL-R濃度が肝の組織学的な状態を反映しているのかを解析した。また、肝疾患別に対象者を慢性肝疾患群、肝硬変群、肝癌群の3群に分けて解析を実施した。肝疾患別にsLDL-R濃度を比較すると、肝硬変、肝癌群は慢性肝疾患群に比べて有意に低値であることが見出せた。このことはsLDL-R濃度は肝脂肪化を反映したマーカーだけでなく、肝線維化を反映したマーカーの側面も持ち合わせている可能性も考えられた。慢性肝疾患群には様々な成因が含まれるので、もう少し症例数を増加させ、成因別解析も必要である。 時系列解析では現段階では統計学的有意な変動は認められていない。これはサンプル数が少ないことが原因である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残余血清の回収が順調であるが、時系列解析試料の回収が少し遅れている。しかし、段階的に統計解析を実施して検証もできているので、おおむね予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き残余血清の回収を行いながら可溶性LDL受容体測定を実施する。同時に時系列試料において、画像検査による肝脂肪量を反映したCAP値・ATI値との変動におけるsLDLR濃度の関連解析に着手する。さらに、慢性肝疾患における解析にも着手する。 最終的に論文作成に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に購入する予定であった測定キットが、在庫不足のため輸入から納品までに時間がかかることが判明し、年度内に使用出来ず翌年度に購入することにしたため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、解析に必要なマーカーの測定キット購入費用として使用する。
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