研究課題/領域番号 |
21K17663
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
吉田 保子 新潟薬科大学, 医療技術学部, 准教授 (60759851)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | サルコペニア / セルフリーDNA / リキッドバイオプシー / ミトコンドリアDNA |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、サルコペニアに関連するリキッドバイオプシーのひとつであるcell-free circulating DNA(cfDNA)の濃度を測定し、サルコペニアとcfDNA関連性を調べ、cfDNAがサルコペニアを診断するためのバイオマーカーとなるかを探索することである。2022年度にサルコペニア該当者(Src群)と比較のためのサルコペニア非該当者(Nsrc群)の検体の採取を実施し、各検体からcfDNAを抽出し、バイオアナライザーにて各cfDNAの濃度測定を実施した。唾液中の十分なcfDNAは採取できなかった。血中cfDNAを分析、さらにミトコンドリア由来のcfDNA(cf-mtDNA)についてもreal-time PCRにて測定し、ゲノムDNA(cf-gDNA)で正規化し相対定量化法で分析した。結果、血中cfDNA濃度はNsrc群に対して、Src群低値の傾向がみられ、骨格筋量指数と血中cfDNAに有意な相関がみられた。一方、cf-mtDNAの相対量はNsrc群と比較して、Src群は高値傾向がみられた。これらの結果より、cfDNA濃度の低下は細胞周期抑制、筋再生能の低下が考えられ、骨格筋指数とも正相関した。サルコペニアでは細胞中のミトコンドリアは減少するが、cf-mtDNAの高値傾向はミトコンドリアの分解を示唆していると考えられる。さらに、抽出したcfDNAをNext Generation Sequencerを使用して解析を行ったがcfDNA量不十分で塩基配列の確認はできなかった。一方、尿中cfDNAは通常170塩基対(bp)付近にピークがみられるたが、ピークがない検体が複数あったため、統計的な解析はできなかった。しかし個別にバンドを解析していくとサルコペニア重症者うち2名の尿中cfDNAで複数のピークがみられ、さらに断片長(bp)が長いところで濃度が高くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予想はサルコペニア該当者は骨格筋の分解が増加することで血中cell-free circulating DNAは増加すると予測していたが、本研究では推測とは反対に低下傾向がみられた。一方、尿中のcell-free circulating DNAは増加傾向がみられた。そこで、尿中のcell-free circulating DNAを詳細に分析するため、動物実験を行う計画を追加したため遅延してしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト対象試験の結果で、尿中のcell-free circulating DNAは増加傾向がみられたことより、尿中のcell-free circulating DNAを詳細に分析する。動物実験にてサルコペニアモデルマウスの血中、尿中cell-free circulating DNAと臓器の変化の関連を分析するための実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験を行う計画を追加したため、追加の期間が必要となった。
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