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2023 年度 実施状況報告書

CREG1はサルコペニアに有用な標的分子となりえるか?

研究課題

研究課題/領域番号 21K17668
研究機関中部大学

研究代表者

後藤 亜由美  中部大学, 生命健康科学部, 客員研究員 (20780969)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード骨格筋 / CREG1 / 筋分化 / 筋線維タイプ
研究実績の概要

本年度は、CREG1が骨格筋分化ならびに骨格筋機能に及ぼす影響について検討した。我々はこれまでの研究過程で使用していた野生型(WT)マウスに比べて血中CREG1レベルがおよそ2倍量である脂肪組織特異的CREG1過剰発現(Tg)マウスを用いた解析を行った。初めに骨格筋機能におけるCREG1の役割を評価したところ、握力テストにおいてはWTマウスと比較してTgマウスで有意に高値を示すことが認められた。一方でWTマウスとTgマウスにおける体重と筋重量ならびに各組織重量において有意な差は見られなかった。次に遅筋優位のヒラメ筋と速筋優位の足底筋における筋線維タイプ組成について免疫化学染色を行った結果、Tgマウスのヒラメ筋ではType Ⅱxの筋線維が有意に増加した。さらにヒラメ筋においてはType ⅡxをコードするMyh1の遺伝子発現においてもWTマウスと比較してTgマウスで増加する傾向が認められた。そこで遅筋優位のヒラメ筋に着目してタンパク質解析を評価したところ、TgはWTと比較して予想外にCREG1の発現量レベルが有意に高値を示した。さらに、TgはWTと比較して筋分化に関与するMyogeninの発現量やタンパク質合成経路に関与するAkt-mTORのシグナル伝達経路の活性化が認められた。次にマウス由来筋芽細胞株C2C12を用いてCREG1をノックダウンしてCREG1の発現レベルを低下させると、筋分化マーカーであるMyoDの発現量は低値を示した。一方で、精製CREG1(1μg/ml)を投与することでCREG1ノックダウン細胞におけるMyoDの低下を回復させた。さらにAkt-mTORのシグナル伝達経路は精製CREG1の刺激時間に伴い増加した。以上の結果から、骨格筋におけるCREG1は、遅筋線維の速筋化に関与することで筋力の向上に寄与し、筋分化へ関与する刺激であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナの影響により研究に対する様々な制限があったが、その中で骨格筋細胞におけるCREG1の分化や筋線維組成タイプにおける役割についての重要な知見が得られたことは当初の研究計画通りであり、今後の更なる研究進展に繋がると考えている。

今後の研究の推進方策

今年度は、研究計画に沿ってCREG1が骨格筋再生過程に及ぼす作用について検討する予定である。本検討では我々の研究室で独自に樹立したCREG1-Tgマウスは骨格筋CREG1遺伝子のタンパク質発現量が野生型マウスのおよそ2倍であることが明らかとなったため、当初予定していた研究内容を一部変更して、内因性骨格筋CREG1の増加が骨格筋再生に及ぼす影響について評価する。さらに最終年度であるため、これまでに得られてきた結果を含めて学会発表ならびに国際誌に投稿する予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度計画していた実験を行うための試薬を購入することができずに予算が残ってしまった。さらに予想外の研究機関移動により、研究が中断していた期間があった。現在新たな環境で研究を再開できる準備を進めているところであり、今年度の研究計画は予定通り進むと考えている。さらに昨年度購入できなかった試薬については代替品の購入が決まったので、昨年度使用できなかった予算を使用できると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The effect of Dunaliella tertiolecta supplementation on diet-induced obesity in UCP1-deficient mice.2023

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Y, Takeuchi T, Endo Y, Goto A, Uno M, Sakaki S, Yamaguchi Y, Takenaka H, Yamashita H.
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology & Biochemistry.

      巻: 88(1) ページ: 16-25

    • DOI

      10.1093/bbb/zbad138.

    • 査読あり
  • [学会発表] CREG1が骨格筋再生過程に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      後藤亜由美、西本蒼、星谷龍、遠藤優貴、山下均
    • 学会等名
      第46回日本基礎老化学会大会
  • [学会発表] プロトンポンプ・V-ATPase阻害薬バフィロマイシンA1は繰り返し寒冷ストレスによる骨格筋反射性循環応答の増大を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      堀天、那須輝顕、後藤亜由美、水上健一、木原ちあき、齊藤龍志、片野坂公明、水村和枝、Masaki Mizuno、堀田典生
    • 学会等名
      2023年度 自律神経学会

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公開日: 2024-12-25  

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