• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

神経変性疾患における栄養素代謝異常のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K17674
研究機関生理学研究所

研究代表者

上原 優子 (寺島優子)  生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 特別研究員PD (80570316)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードタンパク質代謝 / 神経科学
研究実績の概要

本研究は、VMHのSF1発現ニューロン(SF1ニューロン)が骨格筋タンパク質のアミノ酸取込に及ぼす影響を検証することを目的とした。方法は、VMHに特異的に存在するSF1発現ニューロンを活性化するため、SF1creマウスのVMHにアデノ随伴ウイルスを利用して、DREADDを発現させ、マウスの体重が回復した後、インスリン等を投与するための頸動脈カニューレを留置し、DREADDのデザイナードラッグであるCNO(クロザピンNオキシド)を腹腔内注射し、VMHのSF1ニューロン を活性化させた。その状態で、代謝測定のゴールドスタンダードである、高インスリンー正常血糖クランプ法(クランプ試験)に、アミノ酸放射性同位体によるトレーサー法を併用し、骨格筋や肝臓など組織のタンパク質代謝を測定した。コントロールマウスは、SF1-creマウスのVMHにmCherryのみを発現させ、同様に実験を行った。クランプ試験の結果、VMH-SF1ニューロンを活性化すると有意に血糖値を維持するためのグルコース infusion rateが増加した。このことから、VMHーSF1ニューロンを活性化すると、末梢組織において、インスリン感受性が亢進したことがわかった。次にクランプ試験による各組織のタンパク質代謝回転の解析の結果、SF1ニューロンを刺激し、インスリン投与した群は、特に腓腹筋の白筋部分において、たんぱく質合成、分解共に低下していた。SF1ニューロンを活性化するとインスリン作用と共働して、たんぱく質の代謝回転が抑制されることが示唆された。
以上の結果より、VMH-SF1 ニューロンの活性化状態において、 白筋におけるタンパク質分解と合成が抑制されていた。そして、他の筋肉組織においても、同様にタンパク質分解と合成が抑制傾向にあった。これらの現象は、骨格筋のインスリン感受性と関連していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子改変マウスを使用し、脳の特定の神経活動を操作した状況下におけるタンパク質代謝を測定した報告はなく、タンパク質代謝回転を評価するための方法を確立するための予備実験に多くの時間を費やしたため、初年度は新規の結果が得られなかったが、これまでの実験の積み重ねにより、方法が確立し、興味深い結果を捉えることができ、論文投稿のための結果を揃えることができた。

今後の研究の推進方策

最終年度は、得られた結果をまとめ、国内外の学会発表や、学術誌への投稿、アクセプトを目指す。

次年度使用額が生じた理由

興味深い結果が得られたため、追加実験のための試薬および実験用マウスの購入に追加で費用が必要になった。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi