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2022 年度 実施状況報告書

骨格筋幹細胞間コミュニケーションを司る分子を応用した筋再生治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17679
研究機関筑波大学

研究代表者

藤田 諒  筑波大学, 医学医療系, 助教 (60770435)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード骨格筋幹細胞 / 骨格筋 / 遺伝子組換えマウス / サルコペニア / 筋ジストロフィー
研究実績の概要

骨格筋幹細胞は生体内で唯一骨格筋線維を再生できる幹細胞であることからサルコペニアや筋ジストロフィー等の筋疾患への再生治療が高く期待されている。しかし、骨格筋幹細胞を一度生体外に取り出し培養すると、多くの細胞は自発的に筋分化し増殖を停止する。つまり幹細胞治療において分化を防ぎながら、増殖能を維持した状態で細胞数を確保することが大きな課題であると言える。本研究では細胞不均質性をキーワードに骨格筋幹細胞の幹細胞性維持に重要な分子を明らかにし、より生体内に近い、高い再生能 (増殖能、分化能) を保持した骨格筋幹細胞の培養方法の確立を目指す。
本課題の実現に向けて、骨格筋幹細胞の不均質性を可視化し、そして解析できる遺伝子組換えマウスツールであるMyoD Knock-in (KI)マウスの作製を行なった。このMyoD-KI マウスから取り出した骨格筋幹細胞はMyoDが強く発現するもの、弱く発現するもの、発現しないものに可視化することができ、骨格筋幹細胞の不均質性を可視化できるツールとして、国内外で高い評価を受けた。これらの細胞を分取し、網羅的遺伝子発現解析を実施した。このデータベースを証することで、これまで発見されていない細胞不均質性に関わる遺伝子や、個々の細胞集団における特徴的な遺伝子マーカー等が発見される可能性が示唆された。本年度中にMyoD-KIマウスの表現系や特性、そして応用先についての解析を行った論文を投稿した。本研究ツールの独自性から国際的な共同研究へと発展する可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

採択年度に新型コロナウイルスが世界的に流行し、遺伝子組換えマウスの作成と導入が遅れたため、全体的に進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は独自に開発したこの遺伝子組換えマウスを利用し、骨格筋幹細胞の不均質性を司る分子基盤の解明や、不均質性であることの生理的意義に迫る。特に、独自のマウスツールと、シングセル解析を組み合わせることでより詳細に骨格筋幹細胞の階層性や不均質性の解析が可能となると考えている。

次年度使用額が生じた理由

採用年度より新型コロナウイルスが世界的に流行し、当初予定していた遺伝子改変マウスの作成にすぐに着手できなかったため、全体として研究が遅延している。そのため、この作成されたマウスを解析するために予定していた実験に使用する消耗品を購入する必要性がなかったことや、論文掲載にまで進むことができなかったため掲載費用等がなかったため次年度に繰り越す必要が出た。次年度は論文掲載費に係る費用や、このマウスを使用した骨格筋幹細胞の不均質性に関わる新たな遺伝子の探索と機能解析に関わる、細胞培養、生化学、分子生物学的実験に係る消耗品として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Large Maf transcription factor family is a major regulator of fast type IIb myofiber determination2023

    • 著者名/発表者名
      Sadaki Shunya、Fujita Ryo、Hayashi Takuto、Nakamura Ayano、Okamura Yui、Fuseya Sayaka、Hamada Michito、Warabi Eiji、Kuno Akihiro、Ishii Akiko、Muratani Masafumi、Okada Risa、Shiba Dai、Kudo Takashi、Takeda Shin’ichi、Takahashi Satoru
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 42 ページ: 112289~112289

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.112289

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The mitochondrial protein OPA1 regulates the quiescent state of adult muscle stem cells2022

    • 著者名/発表者名
      Baker Nicole、Wade Steven、Triolo Matthew、Girgis John、Chwastek Damian、Larrigan Sarah、Feige Peter、Fujita Ryo、Crist Colin、Rudnicki Michael A.、Burelle Yan、Khacho Mireille
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 29 ページ: 1315~1332.e9

    • DOI

      10.1016/j.stem.2022.07.010

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 速筋線維の形成に不可欠な新規制御因子である大Maf転写因子の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      定木駿弥; 藤田 諒; 林 卓杜; 中村 綾乃; 岡村 結; 布施谷 清香; 濱田 理人; 蕨 栄治; 久野 朗広; 村谷匡史; 岡田 理沙;芝 大; 工藤 崇;高橋 智
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Lunar Gravity Prevents Skeletal Muscle Atrophy, But Not Muscle Fiber Type Transition2022

    • 著者名/発表者名
      HAYASHI, Takuto;Fujita, Ryo;Okada, Risa;Hamada, Michito;Suzuki, Riku;Fuseya, Sayaka;Leckey, James;Kanai, Maho;Inoue, Yuri;Sadaki, Shunya;Nakamura, Ayano;Okamura, Yui;Abe, Chikara;Morita, Hironobu;Muratani, Masafumi;Kudo, Takashi;Shiba, Dai;Takahashi, Satoru
    • 学会等名
      15th Annual Wernher von Braun Memorial Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 大Maf転写因子は速筋線維を制御する主要な因子である2022

    • 著者名/発表者名
      定木駿弥;藤田, 諒;林卓杜;中村綾乃;岡村結;布施谷清香;濱田理人;蕨栄治;久野朗広;村谷匡史;岡田理沙;芝大;工藤崇;高橋, 智
    • 学会等名
      第8回日本筋学会学術集会
  • [備考] 筋肉を速筋タイプにする転写因子を同定 - 加齢や病気で低下した筋機能の改善方法開発に期待-

    • URL

      https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20230324143000.html

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公開日: 2023-12-25  

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