研究課題
加齢や現代の生活習慣に伴う筋萎縮は、健康寿命の低下に直結するが、その発症・進展機序の詳細は明らかにされておらず、予防・治療法も存在しない。我々は、様々な生活習慣病のリスク因子である高食塩摂取が、筋肉量の低下を引き起こすことを発見した。しかしながら、高食塩摂取に伴う筋肉量減少メカニズムは不明である。RNA sequencingにより筋肉の全転写物の塩基配列を測定し、バイオインフォマティクス解析を行ったところ、様々な加齢性変化を促進する遺伝子であるATP6ap2(ATPase H+ Transporting Accessory Protein 2)が高食塩摂取に伴う筋萎縮と関連していることを同定した。そこで、ATP6ap2に焦点を当て高食塩摂取に伴う筋肉量減少メカニズムの解明を進めている。2021年度までの研究により、ATP6ap2に対するワクチンの投与により、高食塩負荷に伴う筋萎縮を予防できることを見出している。現在、動物実験で得られたサンプルや培養骨格筋細胞を用いた実験を開始し、詳細な分子メカニズムの解明にも着手している。
2: おおむね順調に進展している
高食塩摂取に伴う筋萎縮をATP6ap2に対するワクチンの投与により予防できることをすでに発見した。また、本実験により得られた組織サンプルや培養細胞を用いた実験も開始しており、本研究課題は順調に進展していると判断した。
順調に本研究が進展しているため、引き続きATP6ap2に対するワクチン、中和抗体、培養細胞を用いた実験を継続し、高食塩負荷がどのようにATP6ap2を介して筋肉量を減少させるのか、その詳細なメカニズムを解明し、本研究計画の目的を達成させる。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Life Sciences
巻: 289 ページ: 120192
10.1016/j.lfs.2021.120192
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 147 ページ: 245-250
10.1016/j.jphs.2021.07.006