研究課題
フルクトースは天然甘味料のひとつであり、清涼飲料水や加工食品などに広く使用されている。ここ数十年で消費量は飛躍的に増加した。過剰なフルクトース摂取は代謝疾患の発症要因になることが指摘されている。しかし、その詳細な分子機構については不明な点が多く、その解明が強く求められている。近年、オルガノイドと呼ばれるミニ臓器をin vitroで作成する新たな培養技術が開発された。オルガノイドは生体内の臓器に極めて類似しているため、これまで不可能であった臓器そのものをin vitroで扱うことが可能になった。本研究では生体内の肝臓に極めて類似している肝臓オルガノイド(ミニ肝臓)を用いて、フルクトースによって生じる代謝障害の分子機構を明らかにすることを目指す。申請者は肝臓オルガイドの培養法の確立を試みた。肝臓をコラゲナーゼ、ディスパーゼ等の消化酵素にて細胞分散し、マトリゲルに包埋した。各種リコンビナントタンパク質を加えたオルガノイド培養液を用いて3D培養した。その結果、嚢胞状の形態を呈した肝臓オルガノイドの形成、増殖が確認された。得られた肝臓オルガノイドは、肝臓を構成する肝細胞、クッパー細胞等の各種マーカー分子の発現が確認された。樹立した肝臓オルガノイドをフルクトース存在下で培養し、生体内での過剰なフルクトース環境を模擬した。オルガノイドの直径を測定したところ、フルクトース存在下で培養することで、オルガノイドサイズの低下が確認された。フルクトースによる肝臓オルガノイドへの影響を詳細に解析するために、マイクロアレイ解析による遺伝子発現解析を行った。その結果、代謝制御や酸化ストレスに関わる遺伝子など、34遺伝子の変動が認められた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
J Nutr Sci Vitaminol
巻: 69 ページ: 237-242
10.3177/jnsv.69.237