本研究では,妊娠期における潜在性ビオチン欠乏症の発症機序,時期および胎仔奇形との関連を明らかにした.妊娠は血漿ビオチン濃度を低下させるファクターであること,メタボローム解析ではビオチンも関わる糖新生やアミノ酸異化代謝が亢進されることが確認された.また,ビオチン欠乏状態のマウス母体に対して妊娠中期ごろからビオチン補給を行うと,口蓋裂の予防が可能であることが確認された.以上より,妊娠はエネルギー代謝を変動させて潜在性ビオチン欠乏症を惹起する可能性があり,胎仔奇形予防のために妊娠期のビオチン補給が重要であることが示唆された.
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