研究課題/領域番号 |
21K17689
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
栗原 大河 日本薬科大学, 薬学部, 助教 (00881038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 老化促進モデルマウス(SAMマウス) / リゾリン脂質 / 抗不安 / 脳萎縮 |
研究実績の概要 |
本研究では、① 記憶障害・情動障害を呈する老化促進モデルマウス (SAMP8, 10)を用いたブタ肝臓分解物含有食品摂取による認知症の予防・改善効果ならびに神経変性に与える影響の解析、②大脳皮質神経細胞初代培養を用いた有効な活性を有するリゾリン脂質のスクリーニング、③神経細胞応答と作用機序の解析を行い、機能性リゾリン脂質の認知症治療薬としての有効性と創薬ターゲットとしての可能性を検証する。 記憶障害・情動障害を呈する老化促進モデルマウス (SAMP8, 10)を用いたブタ肝臓分解物含有食品摂取による認知症の予防・改善効果ならびに神経変性に与える影響について予備実験を行った。Senescence-Accelerated Mouse Prone (SAMP) 10マウスは加齢 (8ヶ月齢以降)とともに脳萎縮、老化アミロイド症、認知機能低下を発症する。そこで、SAMP10マウスにブタ肝臓分解物含有食品を摂取させ、学習・記憶に及ぼす影響を解析する。解析にはバーンズ迷路(参照記憶)、8方向放射状迷路テスト(作業記憶)を用いる。脳萎縮発症前の4週齢マウスからの長期投与、脳萎縮発症後のマウスへの投与による効果を解析する。早期(4ヶ月齢)に記憶障害・情動障害を示すSAMP8マウスについても解析を行う。効果が認められない場合には飼料中のブタ肝臓分解物含有食品の含有量を増加させ実験を行った。その結果、どれくらいの週齢のマウスにどれくらいの期間の投与が有効なのかを調べた。また、その結果認知機能の優位な上昇が見られた。現在はマウスの数を増やしより詳細に調べるべく、解析マウスを増やし行動実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SAMP10マウス、SAMP8マウス、野生型マウスにブタ肝臓分解物含有餌を16週間食餌させテストバッテリーによる予備実験を行った。その結果、SAMP系の老化促進モデルマウスでは優位な差は見られなかったが野生型マウスでは認知機能と不安行動において優位な差が見られた。そこで老化促進モデルマウスに関しては摂取期間の調整を行い、野生型マウスに関しては投与マウスの数を増やし、より詳細に研究をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年までの結果から、今年度は老化促進モデルマウスに関しては摂取期間の調整を行い、野生型マウスに関しては投与マウスの数を増やし、より詳細に研究をおこなっている。また抗不安効果が見られたことから、抗不安を示す行動実験を増やしより詳細に解析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度行った予備実験の結果から、老化促進モデルマウスの摂取期間や野生型マウスの抗不安など、当初計画していなかったこれらの実験を検証することで、本研究の成果はより高いものにあると考えた。これらの研究の準備を行い、予算をより多く使う本実験を次年度以降に行うこととした為、次年度使用額が生じた。
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