研究課題/領域番号 |
21K17691
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 祐輝 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (90894866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近赤外線分光法 / 座位行動 / 筋酸素動態 / ウェアラブルデバイス / 加速度計 / 微小循環 / 軽運動 |
研究実績の概要 |
座位行動による健康へのリスクファクターの一つは下肢血流の低下であるが、生活環境下での座位行動評価には、妥当性やコストの点から加速度計による評価が一般である。超音波ドップラ法や血管内皮機能検査法による下肢血行動態評価は、測定装置の大きさやコスト、手技等の観点から生活環境下で使用することは困難であったが、近年開発された加速度計内蔵型ウェアラブル近赤外線分光法装置(NIRS)を使用することにより、非侵襲的かつ簡便に生活環境下での下肢血行動態を評価することが可能となった。 本研究の目的は、①ウェアラブルNIRSによる座位行動時の下肢血行動態低下を検出する新規評価法を確立すること、②ウェアラブルNIRSにより生活環境下における座位行動時の下肢血行動態を解明すること、③座位行動による下肢血行動態の低下を解消させる具体的な行動様式の開発とそれらの効果を検証することである。 2021年度は、ウェアラブルNIRSを使用した生活環境下での座位行動評価プロトコル確立にむけたウェアラブルNIRSの設定(サンプリングレート、加速度・角速度など)の検討や下肢血行動態評価に適した被験筋を抽出のための予備実験を実施した。また、予備実験の結果や先行研究での知見を踏まえ、実験室環境下での3時間座位姿勢保持時の下肢血行動態、および座位姿勢保持中の軽運動(足関節底背屈運動)の実施が下肢血行動態に及ぼす影響をウェアラブルNIRSで評価した。その結果、座位姿勢保持後における筋代謝の有意な低下と軽運動実施による筋代謝低下の抑制効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、ヒトを対象とした実験の実施が困難であったため、本年度に実験を行えた人数は5名であり、予定をしていた被験者数20名分のデータを収集することができなかった。一方で、当初は2年目以降に予定していた座位行動時の下肢血行動態の停滞を解消させる運動プロトコルとその効果の検討を始めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した実験プロトコルをベースに、引き続き対象者数を増やして実験を実施する。また、ウェアラブルNIRSから得られる加速度計と筋酸素化指標の連続データの解析を進め、生活環境下での実験に向けた座位行動評価指標を確立させる。加えて、ウェアラブルNIRSを使用した生活環境下座位行動における下肢血行動態の解明に向けた実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で当初予定していた被験者数の測定を実施できなかったこと、2021年度実施した測定における被験者への謝金を別予算より支出することが可能になったこと、参加予定であった学会がWeb開催となったことから、当初計上していた謝金、測定機器や消耗品などの物品購入費用、旅費に次年度使用額が生じた。 2022年度は、2021年度に実施できなかった測定と2022年度に実施予定の測定を実施し、謝金、実験備品および消耗品の購入に使用する予定である。
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