急性期脳梗塞(acute ischemic stroke: AIS)で入院した患者における低栄養、フレイル、筋肉量低下が、AISの転帰に影響するかデータを収集した。低栄養の評価にはbody mass indexや血清アルブミン値の他、簡便に評価が可能な栄養評価スケールであるControlling Nutritional Status (CONUT) score、Geriatric nutritional risk index (GNRI)を測定した。その結果CONUT scoreで低栄養と評価された患者は退院時の転帰が不良であることが明らかになった。また、CONUT score、GNRIで低栄養および低栄養リスクがあると評価された患者は在院日数が長期化することも判明した。AIS患者におけるフレイルの評価では、一般的にフレイルの評価に用いられるJ-CHS基準ではデータ収集率が低く、統計解析を十分に行えなかった。一方、Yamadaらが提唱した簡易フレイルインデックスを用いた問診における評価では、65歳以上のAIS患者でも約81%でフレイルの評価が可能であった。加えて、フレイルの存在はAIS患者における退院時の転帰不良と関連していることが明らかとなった。Inbody s10を用いた骨格筋指数 (skeletal muscle mass index: SMI) 評価では、高齢者においてSMI低値は退院時の転帰不良と関連がみられた。本研究結果からは、低栄養やフレイルを基礎とした患者がAISを発症することで、AISの転帰が不良となることが示唆され、AIS診療にあたっては低栄養、フレイルの合併に注意すべきであると考えられた。 令和5年3月開催の脳卒中学会総会で研究成果の一部を発表した。今後は研究内容をまとめて英文誌への投稿を計画している。
|