研究課題
フレイルは、ストレス反応に対する恒常性の低下によって複数の生理学的予備能力が低下した状態であり、「しかるべき介入により再び健康な状態に戻る」という可逆性が包含されている。これまでの先行研究において、フレイルと非フレイルを比較することでフレイルのバイオマーカーが検討されているが、2群間で年齢が8歳も異なっていた。これはフレイル有無の違いではなく、単に年齢の違いを検出した可能性が高い。我々は中高齢者307名のデータから、フレイルを評価する表現型モデルを基に年齢・性別をマッチさせ、予備能力に応じた“フィット”、“ウェル”、“プレフレイル”、“フレイル”の4群に分類した。これにより、単に暦年齢の違いではない身体的予備能力(生物学的年齢)に関連したバイオマーカーが探索可能である。バイオマーカーは、12時間以上の絶食時に採取した血液サンプルを用いたプロテオミクスおよびメタボロミクスによって評価した。プロテオミクスでは、2059種類のタンパク質が検出され、44種類のタンパク質がフレイルの程度に応じて傾向的な関連を示した。一方で、メタボロミクスにおいて、ターゲット解析により192種類の代謝産物が検出され、既知・未知の約50分子がフレイルの程度に応じて傾向的な関連を示した。現在、ノンターゲット解析によって、フレイルと関連を示した分子の特定をおこなっている。今後、これらのフレイルの程度と関連を示したバイオマーカーがその他の集団でも再現性が確認できるか検討する必要がある。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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