研究実績の概要 |
令和4年度は,前年度の研究を継続し,マルチパーティ計算における大小比較アルゴリズムにおいて,実用的な通信量の範囲内でラウンド数(並列化されない通信の回数)を削減ずる手法の開発に取り組んだ.結果として,前年度の成果からラウンド数の削減には至らなかったものの,通信量を大幅に削減することに成功した. 先行研究[Reistad-Toft,2009]において大小比較アルゴリズムにランダム秘匿巡回置換が用いられている.ランダム秘匿巡回置換を素朴に実装するとビット長の2乗に比例する通信量を要するが,[Reistad-Toft,2009]ではラウンド数の増加と引き換えにランダム秘匿巡回置換の通信量がビット長に比例するようにする実装が提案され用いられている.本年度はそれらを参考に,ランダム秘匿巡回置換を変形して用いることで,ラウンド数の増加をふせぎつつ通信量がビット長の2分の3乗に比例する大小比較アルゴリズムを開発した.
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